v11.0
- ID:
- 37209
- 年:
- 2017
- 月日:
- 0106
- 見出し:
- 建築の木材利用は時代の意志
- 新聞名:
- 宮崎日日新聞
- 元UR(アドレス):
- http://www.the-miyanichi.co.jp/kuroshio/_23602.html
- 写真:
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- 記事
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「建築は空間に表現される時代の意志である」。
コルビュジエ、ライトと並ぶ近代建築の巨匠ミースの言葉。
確かに日本の歴史的建築からも各時代の明快な意志が感じられる。
薬師寺の東塔は大陸文化を存分に消化した後の白鳳らしい清新な気風をまとっているし、金閣・銀閣寺は武家政権の威風に加えて町人文化の台頭をのぞかせる。
わが県庁本館もネオゴシックの意匠で権威を強調しながらも、昭和初期の美術センスを忘れていない
大規模な建築は周辺の雰囲気を大きく左右する。
地理的な意味だけでなく歴史上のランドマークになる使命を帯びる。
ミースのいう意志には、混とんとした時代の空気ではなく、その時代に求められる価値観や理想を込めているはずだ
では現代に求められる価値観や理想は何だろう。
異なる立場の間の和解、人間的な触れ合い、自然への回帰、環境に優しい配慮などの言葉が浮かぶ。
建造物に適用すると、素材の中心だったコンクリートや鉄から木材が見直されつつあることは必然かもしれない
2020年東京五輪・パラリンピックのメインスタジアムとなる新国立競技場が木材を多用する方向に決まり、林業が盛んな本県としては希望の持てる時代の流れだ。
元日付本紙には設計する建築家隈研吾さんのインタビューが載った。
「(日本が)自然、木の時代のリーダーであることを世界に発信したい」と心強い。
時代の意志を体現する使命を強く自覚している。
県産材の採用は未定だが、これまでの植林から育林、加工技術の蓄積があるからこそ近づいたひのき舞台だ
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