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- ID:
- 37650
- 年:
- 2017
- 月日:
- 0220
- 見出し:
- <秋田杉復権へ>製材用 首都圏でPR
- 新聞名:
- 河北新報
- 元UR(アドレス):
- http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201702/20170220_43003.html
- 写真:
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- 記事
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林業県の秋田は木目の美しい「天然秋田杉」で知られた。
近年もスギの人工林面積が全国1位の36万7000ヘクタール(2012年)、丸太生産量が同2位の107万立方メートル(14年)と全国有数だが、天然秋田杉の供給が自然保護を目的に2013年3月末で停止されてからは他産地に対する優位性
がなくなっている。
産地間競争が激しさを増す中、人材育成や人工杉の販路・用途の拡大を目指して模索を続ける県内の林業・木材産業の動向を探った。
(秋田総局・渡辺晋輔)
◎林業県の挑戦(中)販路拡大
<生産能力3割増>
昨年4月の火災で全焼した合板メーカー秋田プライウッド(秋田市)の向浜第2工場(同市向浜)に14日、最新設備を導入した待望の生産ラインが完成した。
合板の生産能力は月1万3000立方メートル。
火災前より3割向上するため、秋田県内の林業関係者の期待は大きい
同社は2003年以降、向浜第1工場(同)と向浜第2工場、男鹿工場(男鹿市)で、合板の内側に使う木材に関しニュージーランド産から県産スギ中心の国産へ転換を進めてきた
火災前、3工場で月約4万5000立方メートルだった国産材の使用量を、向浜第2工場復旧後は5000立方メートル上積みする。
計約5万立方メートルのうち約9割が県産材。
渡辺一徳専務は「将来は製品輸出も視野に入れる」と一層の活用を目指す
県内のスギの丸太生産量は、03年の53万8000立方メートルから、14年は107万9000立方メートルに倍増。
広葉樹を含めた総量121万7000立方メートルの9割を占める。
総量を用途別に見ると、木材のランクでB材と呼ばれる合板向けが7万立方メートルから56万5000立方メートルに急増した
のに対し、A材の製材向けは47万2000立方メートルから50万立方メートルへと微増にとどまる。
いずれもスギが大半だ
秋田県森林組合連合会によると、合板向けの生産割合は全国でも突出して高い。
秋田プライウッドのような大規模な合板工場があるためで、合板業界が需要を下支えしている
スギの県内価格は、製材向けが1立方メートル当たり平均1万~1万2000円なのに対し、合板向けは長さ4メートルで9000~1万円にとどまる。
それでも合板向けが伸びる背景について、同連合会の安田浩参事は「合板工場は多少欠点のある木材も受け入れるため、多少の価格差であれば合板に流
れやすい」と解説する
<コスト抑制必要>
県は丸太生産量をさらに拡大させる方針を掲げる。
実現の鍵を握るのが、伸び悩む製材用の需要拡大だ
製材向けの伸び悩みは、有力な取引先を抱えていた製材工場の減少などが要因とされ、「国内市場で県産材の占める割合は減少傾向にある」(県林業木材産業課)。
県は需要を掘り起こそうと、13年以降、県内の製材業者に呼び掛けて首都圏で県産材のPR活動や販売展示会を展開している
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