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- ID:
- 35573
- 年:
- 2016
- 月日:
- 0606
- 見出し:
- 身近な動物リアルに はしもとみお彫刻展
- 新聞名:
- 神戸新聞
- 元UR(アドレス):
- http://www.kobe-np.co.jp/news/odekake/201606/0009147770.shtml
- 写真:
- 【写真】
- 記事
-
動物をモチーフにした木彫で人気の彫刻家はしもとみおさん(36)の作品展が、京都府福知山市の佐藤太清(たいせい)記念美術館で開かれている。
身近な犬や猫、動物園のチンパンジーなどをモデルにしたリアルな実物大の木彫やスケッチ、ミニチュア作品約300点を展示。
「命あるもの」への慈しみに満ち
た作品群が、温(ぬく)もりある空間を形作っている。
(堀井正純)
豊岡市で生まれ、幼少期、少女時代を神戸や尼崎で過ごした。
幼いころから動物好きで、一時は獣医師を志したが、中学時代、尼崎で阪神・淡路大震災に遭遇。
動物を形として残したいと、芸術家の道を選んだ。
東京造形大などで彫刻を学び、現在は三重県にアトリエを構える。
「神様のないた日」など絵
本や動物イラストも手掛ける。
動物を細密にスケッチし、クスノキを一刀一刀削り、彫り、彩色する。
愛犬「月」、知人の飼うリクガメ「亀吉」、東京・多摩動物公園のオランウータン「キュー」、福岡・玄界灘の「猫の島」、相島で取材した猫たち…。
一体一体が個性を持つ「肖像彫刻」だ
歩く姿や顔付きがふてぶてしい野良猫もいれば、愛らしい羊も。
ポーズや表情はさまざまだが、揺るぎない存在感がある。
「動物たちと向き合うたび、人と動物、ではなく、個と個の対話を感じる」「そのままの動物たちの姿を彫刻に残したい」。
自らの制作姿勢を、そう記す
木の中にそれぞれの「命」「存在」を封じ込めようとしているのだろう。
観察眼の鋭さは、スケッチ、水彩画にも存分に発揮されている。
「はしもとみお彫刻展 いのちを刻む物語」は12日まで。
火曜休館。
一般210円。
JR福知山駅から徒歩約15分。
同館TEL0773・23・2316
<<フォーカス この1点>>黒犬の「リンゴ」 指先から伝わる作家の思い
「なでてもいいよ」。
「カブ」や「月」など、犬の彫刻の前には、プレートにそんな表示がある。
入場者たちは、その場で犬の頭や背を撫(な)で、手触りや大きさを確かめている。
わが家の飼い犬をかわいがるように
「うちの犬もこんなふうに彫ってほしいな。
でも注文でいっぱいなんでしょうね」と、笑顔の女性が手をやったのは、お座りした黒犬「リンゴ」の彫像。
高さ約80センチ。
優しい目が印象的なラブラドルレトリバーだ。
触れることでアートがより身近になり、木の温もりを体感できる。
「ただの犬ではなく、ただの猿ではなく、世界にひとつの、たったひとつのいのち対いのち」。
そんな気持ちで動物に向き合う作家の思いが、指先からも伝わる気がする
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