昨年、同社が新製品として投入した屋外木部含浸下塗り剤「リグノブライト」も木の素材感を求めるニーズに応えた製品の1つ。
劣化した木部塗り替えの際、「色が出ない」「吸い込みが止まらない」「色ムラになる」といった課題に対し、下塗り剤を組み入れた新たな塗装仕様の提案を始めている
特長は、黒褐色の原因となる変質リグニンを包み込み、明度の高い塗色での塗り替えを実現。
耐退色性、耐候性を向上させる他、上塗りとなる木材保護塗料の使用量削減に寄与する。
水性拡大、地域戦略を強化
大阪塗料工業
大阪塗料工業の水性木材保護塗料「水性ニューボンデン」が2013年のリニューアル品投入以来、販売量を急増させている。
地域の販売店との協業を通じ、設計関係や塗装ユーザーへのPRに注力したことで認知度を高め、常備在庫する販売店を増やしている。
その要因は、油性含浸タイプの木材保護塗料が市場を占有する中で水性タイプが差別化になった点。
これまで刷毛ムラや塗り継ぎムラなど水性タイプに対する抵抗感も少なくなかったが、臭気が少ないことに加え、色のトマリが良く、下地の色の影響を受けにくいといった特長が仕上がり感、工期短縮に寄与
するとして評価を高めている。
更に他社品にない付加価値として訴求するのが、多機能性と多彩な仕上がり感。
機能面では、木材保護塗料の基本性能である防腐、防カビ、防虫効果に加え、防蟻、防藻性能を付与。
木部素地の劣化因子を抑制することで、長期間にわたる美観維持を確保した
また仕上がり感においては、木目を生かした着色ステイン仕上げから着色エナメル仕上げまでを同品1つで実現。
専用レジューサーによる希釈で鮮やかな木目仕上げが得られる一方、原液1回塗りで隠ぺい性の高い着色エナメル仕上げが得られる。
更に1回塗り仕上げのため工期短縮も可能としており、新
築から塗り替えまで幅広い用途で対応できる汎用性が最大の特長となっている
7月からキャンペーンを開始。
「地域の販売店との関係性を深め認知度を高めたい」と販売拡大に意欲を示す
下地処理から塗装までをサポート
吉田製油所
吉田製油所は、白アリ予防駆除剤、木材防腐剤で培ったノウハウを武器に木材の普及促進をサポートしていく姿勢を打ち出す。
「木材利用に対する気運が高まる中で、無塗装木材を外部で使うなど木材に対して正しい理解がされていないケースが目立つ。
処理の重要性を訴求し、木材利用に対するネガテ
ィブなイメージを払拭していくことが重要」(吉田善彦社長)と話す
その中で同社が注力するのは、防虫・防腐処理から塗装までのトータルサポート。
白アリ予防駆除剤、木材防腐剤、木材保護塗料の各分野において豊富な製品ラインアップを保有。
ログハウスメーカーに対して、防腐処理・木材保護塗料による着色・高耐候トップコートの仕様を提案するなど、木材防腐専
門メーカーとしての強みを差別化に据える。
現在、木材防腐剤では、「クレオトップ」(ブラウン・クリア)及び家庭用品規制法適合の「クレオソート油R」が全国のホームセンターの大半に置かれるトップブランドにある他、「水性クレオトップ」「竹ガード」を上市するなど用途、ニーズに応じた品揃えを図る
特に2013年に発売した「かびZERO(ゼロ) 木部用下塗り」に需要拡大の期待が集まる
同品は水性クリヤータイプの防腐・防カビ剤で、降雨が懸念される建築中の木造建築物の養生としての利用を見込む他、キッチンや押し入れなど屋内外部に適応。
上塗りは油性、水性ともに適応することから、木材保護塗料の下塗りとしての利用も可能にする。
作業性と仕上がり感で差別化
大谷塗料
大谷塗料は、自然系木部用浸透形着色剤「VATON FX」を筆頭にした「バトンシリーズ」をラインアップし、屋内外含め、用途、仕上がり感などニーズに応じた製品展開を可能にしている
「VATON FX」は、学校環境衛生基準、健康住宅基準など室内環境に配慮した内装用着色塗料で、塗膜は食品衛生法に適合。
室内環境に配慮する一方で、刷毛ムラ、刷毛継ぎが出にくい滑らかな作業性と木目を生かした美しい仕上がり感を特長としている。
また同品の特長をベースに古家具調の濃色仕上げを実現する「VATON ウッドプロ」と艶感のある着色仕上げを得意とする「VATON カラーニス」も揃え、店舗や住宅などこだわりの高い意匠ニーズに応えている
一方で、同社の独自技術により植物油を水性化した水性タイプの着色剤も存在感を高めている
「水性VATON」は、美しい仕上がり感と耐候性を両立した製品。
従来のVATON同様、木材に深く含浸し、しっとりとした風合いが得られるのが特長。
常備色16色を揃え、多様なカラーニーズに応える。
「バトンシリーズ」の中で特に外部用として展開するのが「水性VATONプラス」。
木材保護塗料として日本建築学会が定めたJASS18・M-307に適合。
防虫、防腐、防カビ効果を有する
同品は含浸タイプのため、木目を生かした美しい仕上がり感が最大の特長。
亜麻仁油の浸透効果により、油性系と変わらない作業性が得られる。
木材利用、成長拡大へ弾み
オスモ&エーデル
オスモ&エーデルは、建築物における木材利用の高まりを受け、市場シェア拡大に向けた販売展開を加速させる構えだ
約20年前に起こった自然塗料ブームを契機にトップブランドに成長した同社にとって屋外分野は成長市場の位置づけ。
新築住宅着工減少に伴う内装市場の縮小は避けられないとして、数年前から木材保護塗料市場に本格参入し、市場での存在感を高めている
現在、木材保護塗料としては「オスモカラーウッドステインプロテクター」及び「オスモカラー外装用クリヤー"プラス"」の2製品をラインアップする。
ウッドステインプロテクターは木目を生かした半透明仕上げが得られ、日本建築学会が定める木材保護塗料規格JASS18M-
307適合品。
一方、外装用クリヤーは、屋外木部の生地仕上げに対応する他、着色塗装の上塗りに使用することで耐候性向上に寄与する。
いずれも独自の油精製技術を駆使することで合成樹脂系に劣らない塗膜物性の高さを特長としている。
中でも同社が最大の特長に据えるのが不揮発分の高さ。
「一般の浸透形の油性塗料が固形分25%以下であるのに対し、同品は55%の不揮発分を確保している。
同容量で2倍以上の塗装面積が得られるメリットは大きい」(担当者)とコストパフォーマンスの高さをアピールする
また販売店組織の「ひまわり会」は現在80社に拡大しており、塗り替え市場の中核拠点として、協業関係を深めていく意向を示す
木材の新たな構法で実績
トーヨーマテリア
トーヨーマテリアが展開しているシッケンズの木材保護塗料「セトールシリーズ」に需要の広がりが出てきた
1つは外部用の主力「セトールHLSe」がW・ALCの物件に採用されたこと
W・ALCとは木製のALC版。
鉄骨造などの構造躯体にカーテンウォールのように使用できる木質集成パネルで、平成23年に準耐火構造の大臣認定を取得。
図書館や集会所のような公共施設の他、震災の復興公営住宅でも多用され始め、木材現しの外観が人気を呼んでいる。
このW・ALCの物件でセトールHLSeが採用されており、「木材を建築で多用していこうという流れの中で新たな構法や木質建材が出てきており、塗料のフィールドが広がっている」(担当者)と期待を寄せる
また、無水酢酸との反応で木材の耐腐朽性を飛躍的に高めたアセチル化木材「アコヤ」の各種木質建材の仕上塗料としても採用が進んでいる。
W・ALCやアコヤなど、新たな利用分野の開拓に力を入れる。
一方、近年のDIYブームを受け、一般消費者がセトールシリーズを買い求めるケースが増えている。
Q&Aなど一般消費者に分かりやすいホームページ(HP)に刷新して以降、アクセス数が急増している。
自社HP上では販売はしていないものの、セトールシリーズを扱う他サイトからの販売が増加。
「1kgや4kgなど
の出荷状況から個人客の増加が感じられる。
すそ野の広い市場なので、更に認知活動に注力したい」と方針を述べる。
豊富な色で差別化、水性タイプ投入
新宮商行
米国PPGインダストリー社の木材保護塗料「オリンピック」シリーズを展開している新宮商行は昨年、水性タイプの「オリンピック・マキシマム」を国内市場に投入した。
「国内でも今後水性タイプが主流になると判断、米国でトップブランドの同品を、満を持して投入した」(担当者)と狙いを語る。
オリンピック・マキシマムは半透明タイプ48色とソリッドタイプ112色の豊富なカラーバリエーションが国産品にはない最大の特徴。
本場の米国で揉まれた洗練された色が建物の外観デザインで映える
半透明のセミトランスパーレントは、オイル樹脂のコアがアクリルシェルでカプセル化されたコアシェル技術を採用。
オイル樹脂の有効成分を木の深奥に送り込むとともに、表層部にフィルム化されたアクリルシェルで撥水性と紫外線防止効果を発揮、従来の油性半透明タイプをしのぐ耐候性が得られる。
塗りつ
ぶしタイプのソリッドは、木の持つ風合いを残したまま塗りつぶしの美しい仕上がりを提供する。
全色相と濃彩から淡彩までをカバーした全112色のカラーバリエーションは圧巻。
建物外観デザインでの顧客満足が高い
従来の代理店ルート、ホームセンター、材木ルートに加えインターネット販売も展開。
「米国で最も伝統のあるブランドであり、色や質感など国内品にはない洗練されたテイストが強み。
近年盛り上がりを見せているDIY分野で高い支持が得られるのではないか」と自信を示し、認知活動に力を入れる。
高い耐候性でニッチな層をつかむ
太洋塗料
太洋塗料の「ウッドスキンコート」が存在感を強めている。
屋外に強い木部用水系透明仕上塗料として、和風の高級旅館など、頻繁に塗り替えることができない木造物件での採用が増加。
同品の最大の特徴である高い耐候性が、施主の支持を得ている。
同品は千葉県の沿岸部での屋外暴露試験で2年以上が経過しても変色が少なく、耐候性の高さを実証。
塗膜中に紫外線を防ぐ薬剤を配合することで、紫外線を木材まで届きにくくしている。
更に、ナノ粒子の成分を配合させることで、防カビ剤が溶出しにくく、木材を長く持たせる効果がある。
クリヤー仕上げ
の「ウッドスキンコートST」、艶消し仕上げの「同マット」、中塗り及び艶あり仕上げの「同グロス」、防滑性能を付与する「同FC-30」を揃える
また、水性で公害上問題となる塩素系の薬剤を使用しないことで環境にも配慮した。
1液タイプで悪臭が少なく作業性も高い。
ステイン色での着色も可能
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