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- ID:
- 32595
- 年:
- 2015
- 月日:
- 0304
- 見出し:
- 新建材CLT:夢の木造10階建ても 地方創生の切り札に
- 新聞名:
- 毎日新聞
- 元UR(アドレス):
- http://mainichi.jp/select/news/20150304k0000e040209000c.html
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- 記事
-
木造の中高層建築を可能にする新しい建築資材として、CLT(直交集成板)と呼ばれる木材パネルに注目が集まっている。
板を縦横に交差させて層状に重ねて貼り合わせたもので、海外では2000年代に入って欧州を中心に利用が広がり、10階建てのアパートや大型商業施設なども生まれている。
低迷す
る国産木材の需要拡大への期待感のみならず、「地方創生の切り札」との声まで上がる。
その実力とは−−
中国地方を代表する木材集散地の岡山県真庭(まにわ)市。
総面積の8割を山林が占める同市に3月上旬、国産スギを加工したCLTを壁や床など全構造に使った3階建ての市営住宅(3LDK3戸)が完成する。
市はCLTの断熱性に着目。
入居条件として月々の光熱費の報告を求め、「省エネ」建材をアピ
ールしたい考えだ。
農林振興課の大塚清文参事は「今までの木材と違う使い方ができるCLTは、新しい産業を生む可能性を秘めている。
雇用創出、人口減少対策としても期待している」と話す。
地元製材会社も新工場を計画し、約40人の新規雇用が見込まれている。
CLTは大型の木造物を建てる技術として、林業が基幹産業のオーストリアで約20年前に実用化された。
厚さ数センチの細長い板を並べた面をつくり、板が直角に交わるように接着剤で何層も貼り合わせる。
木目が交差し、約10〜数十センチと厚みもあるため強度が高い。
鉄筋コンクリートに比べて軽く、柱
やはりが要らず箱のように組み立てられるので、短い工期で済む利点があり、欧州や北米で急速に普及した。
オーストリア・グラーツ工科大の資料によると、世界の生産量は00年の5万立方メートルから、今年は70万立方メートルとなる見通しだ
「林業の成長産業化」を唱える政府も、普及に向けた環境整備を急ぐ。
2月10日には兵庫県三木市にある防災科学技術研究所の施設で、5階建ての実物大のCLT建物の耐震実験が行われた。
国土交通省の補助事業で、阪神大震災の揺れを再現したが大きな損傷は確認されなかった。
木造建築が
専門の河合直人・工学院大教授は実験後、「一定の耐震性が確認できた。
耐震基準ぎりぎりの建物と比べたら高いレベルにある」と笑顔を見せた
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