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- ID:
- 32022
- 年:
- 2014
- 月日:
- 1214
- 見出し:
- 上川隆也 再演「真田十勇士」、木材とノミで語った熟考演技論
- 新聞名:
- スポーツニッポン
- 元UR(アドレス):
- http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2014/12/14/kiji/K20141214009457330.html
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- 記事
-
激しい殺陣や大胆なストーリーなどで話題を呼んだ舞台「真田十勇士」(スポニチ主催)が、1月8日から東京・赤坂ACTシアターで、1年4カ月ぶりに再演される。
引き続き主演の上川隆也(49)は、舞台で演じる真田幸村と同い年。
50代に突入する心境や演技論を、独特の“上川節”で語った。
初演では、凛々(りり)しく美しい“ビジュアル系幸村”も話題を呼んだ。
上川は「あれはメークさんのおかげ」と照れ笑いしつつ「結い上げた髪がほつれ、顔にかかってなびく姿は、大坂夏の陣を戦い抜いた男の一瞬を切り取ったものに思えた」と満足げだ。
戦場で命をぎりぎりまで燃やす男の危うい色気、躍動感
に満ちた姿を気に入っている。
上川版に限らず、若きイケメン武将のイメージが強い幸村だが、大坂夏の陣で亡くなったのは49歳とされる。
意外なことに“ビジュアル系幸村”さながらに若々しい上川も同い年。
来年で50歳になる。
上川自身も「こればかりは一つ年が変わればカウントが増えていく。
50歳は、もっと自分とかけ離れた大人だと
思っていた。
自分はそんな大人にはなれていない」と戸惑っているようだ
日中合作のNHKドラマ「大地の子」(95年)でブレークし来年で20年。
役者として一線に立ち続けてきたが「積み重ねたものはない」という。
真面目な役を演じることが多いが、実際に真面目な人だ。
「積み重ね」について考え込み、30秒近く口を閉ざした。
「芝居がロールプレーイングゲームの経験値のように、戦えば戦うほど数値がもらえ、成長できるものならいいですが」と積み重ねの難しさを表現し再び沈黙。
記者が質問を変えようと思った瞬間、ようやく言葉を絞り出した。
「宮大工が目の前にある木材にホゾを彫るとして…」。
予想外の言葉に驚いたが、この人らしい演技論だった。
「板目に対し、どうノミを入れるかを経験で培っていて“この角度だ”と打てるなら、技術であり経験値で、積み重ねていけると思えますが…」。
どうやら演じる役が置かれた状況を“木材”に、演技を“ノミ”
に例えたようだ
「例えば泣くという演技にしても、表現する場所や共演者、話の流れなど状況は毎回違う。
“前回こう泣いたから、こう泣く”では、どこか成立しない。
演技をした後に揺るぎなく残るものがなく、積み重ねることの難しさばかり感じる」。
実際の木材に形や大きさ、木の種類や板目の違いが無数にあるように、上川が
接する“木材”も無数にあるのだろう。
役者にとって50歳など、若造だと言わんばかりだった。
「形あるものを残せる人は凄い。
でも僕たちは、何かに根ざしてやってはいけない」とも話した。
役者として経験を積み、手持ちの“ノミ”の数は増えたはずだ。
だが“打ち込み方”に正解はなく、完成させてはいけないのかもしれない。
恐らくそれが上川にとっての演技の面白さなのだろう。
「だから毎回新鮮な気持ち
でやれる。
きょうの演技は、きょうの自分にしかできない。
舞台はその最たるもの」と楽しそうに話した。
年齢なりの表情や言葉が出る時もある。
今作は、ほぼ全体が急坂の特殊な舞台で、そこで繰り広げる激しい殺陣も売りの一つ。
「年々歳々、共演する若い者を見ていると…こういう言い方、オジンくさいですね。
瞬発力も持久力も劣っているのは分かります」と苦笑いする。
それでも「この年で、こんなに体を酷使する舞台に出られるのも幸せ。
こんな50歳がいてもいいじゃないですか」と話した。
その表情は、自分自身がどう変わっていくか楽しみにしているようだった。
◆上川 隆也(かみかわ・たかや)1965年(昭40)5月7日、東京都生まれの49歳。
旅回りの劇団を経て、中央大在学中の89年に演劇集団キャラメルボックスに。
06年NHK大河ドラマ「功名が辻」、テレビ朝日「遺留捜査」シリーズなどで主演。
日本テレビ「ぐるぐるナインティナイン」の人気コーナー「ゴチ
になります!」などバラエティーでも活躍。
1メートル75、65キロ。
血液型A
▽真田十勇士 真田幸村に仕えたとされる10人の家臣。
猿飛佐助、霧隠才蔵らが有名。
架空の人物だが、モデルが存在する人物もいる。
原型は江戸中期の小説「真田三代記」。
映画やドラマ、舞台、小説など作品化は多数。
大坂冬の陣、夏の陣を中心に描かれる。
▽チケット 東京公演は来年1月8~25日で21公演。
真田シート1万2500円、S席9800円、A席8800円。
予約はチケットスペース=(電)03(3234)9999、ACTオンラインチケットなど。
大阪公演は同2月5~8日、梅田芸術劇場メインホールで5公演。
S席1万2000円、A席9000円、B席5000円
。
予約はチケットぴあ=(電)0570(02)9999ほか。
名古屋、福岡でも公演
ACTオンラインチケット
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