v11.0
- ID:
- 30308
- 年:
- 2014
- 月日:
- 0426
- 見出し:
- 木目の美しさ生み出す 庄川挽物木地
- 新聞名:
- 東京新聞
- 元UR(アドレス):
- http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/CK2014042602000190.html
- 写真:
- 【写真】
- 記事
-
ケヤキやトチの材料がうずたかく積まれ、木の香り漂う工房。
伝統工芸士で、庄川(しょうがわ)木工協同組合理事長の嶋田数男さん(65)が手ぬぐいを締め直し、ろくろに触れた。
「横ろくろ」と呼ばれ、回転軸と平行に職人が座る。
材料をろくろに固定し、ぜんまい鉋(がんな)で挽(ひ)くたび、木くずが四方
に舞い上がった
作業の支点となる鉋枕(かんなまくら)をひざで押さえ、右手で鉋の柄をしっかり握る。
嶋田さんの左手の微妙な動きで、鉋の刃先がまるで材料に吸い付くように、滑らかな曲線を描いて成形されていく。
ろくろの回転数は毎秒六百~三千回。
見とれているうち、サラダボウルの外側が完成した。
続く中仕上げで
、内側の表面を小刀で挽き、紙やすりで滑らかに磨き上げる。
「この手仕事で、木のぬくもりや木目の美しさを表現できる」と嶋田さんはほほ笑んだ
砺波市庄川町は江戸時代から昭和初期にかけて、飛騨地方で切り出された原木を庄川の流れで送り、その木材を貯木する北陸地方の一大集散地として栄えてきた。
挽物木地(ひきものきじ)はその木材を使った地場産業として、木地師の手によって受け継がれてきた。
使用する寸法の厚さに原木を加工
した板材を半年から一年かけて乾燥。
さらに実際に使う大きさに見合うように挽き、一週間ほど加熱乾燥してから、ろくろで仕上げていく
加工前の白木地の大半は、石川県の山中漆器など全国の名だたる漆器産地へ出荷されている。
ただ、生活様式が和から洋に変化し、代表的な挽物木地として以前からある、茶ひつやお盆といった定番商品の需要は少なくなっている
嶋田さんは「女性に支持される商品こそ必要」と発想を変えた。
富山県南砺市井波地方の伝統工芸「井波彫刻」と連携し、砺波市特産のチューリップをかたどったシンプルな皿や、球根をイメージしたつぼ押しの健康グッズなど、新商品を生み出している。
つぼ押しは東京スカイツリーでも販売され、年間三千
個を出荷するヒット商品になった
国道沿いに立つ嶋田さんの工房は「木の駅 木芸館」の看板を掲げる。
ふらっと立ち寄る観光客との会話の中から、商品のアイデアも浮かぶそうだ。
「新しい物を生み出すのは夢がある。
職人の物づくりの楽しみですよ」。
次のヒット商品の構想へ夢を膨らませる
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