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- ID:
- 29806
- 年:
- 2014
- 月日:
- 0304
- 見出し:
- 絵本の世界を木工で再現 97歳・斎藤さんが制作、温かな魅力でファン全国に
- 新聞名:
- カナロコ
- 元UR(アドレス):
- http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1403030026/
- 写真:
- 【写真】
- 記事
-
木工細工で絵本の一場面を再現した作品が、茅ケ崎市立図書館(東海岸北1丁目)に展示されている。
制作したのは、97歳の斎藤武久さん=同市矢畑。
作品の持つ温かな魅力が人気を集め、ファンを増やし続けている。
絵本「こぎつねコンとこだぬきポン」の中で、タヌキの子がキツネの子と遊んだことを怒られているワンシーン。
タヌキの顔の丸みや、手足の角度が自然に見えるよう加工され、今にも動きだしそうだ。
タヌキがすむ家のたんすは引き出しも開けられ、鍋のふたも取れる。
作品には木の板や枝を使い、糸や布など
も組み合わせて、絵本の世界を細部まで再現している。
斎藤さんが木工細工を始めたのは、妻を亡くした90歳の時。
喪失感から、家で何もせず過ごしていた様子を見て、長女の民子さん(70)が「何かやってみたら」と勧めた。
自宅の庭にあった丸太を切って加工し、熊や豚の顔を作ると、家族から大好評。
以来、頭の中で記憶している昔話のイメージや、「ぐりと
ぐら」などの絵本を題材にした作品を作り始めた。
「みんなに喜んでもらえるなら、ひとつ力を入れてやろうと思った」と斎藤さん。
材料の木は、愛犬との散歩の途中で拾い集めている。
そのうち、近隣住民も協力するようになり、庭で刈り込みした木の枝を持ってきてくれるようになった。
「お返しに、出来上がったものをプレゼントしている。
人に喜んでもらえることが
何よりうれしい」
温かみのある作品が「かわいい」と評判を呼び、口コミなどで広がり始めた。
96歳の時に市内で開いた展覧会には、3日間で400人も訪れた。
雑誌にも紹介され、九州から手紙が届いたこともある。
作品を作ってほしいと、次々と注文を受けるようになった。
「頼まれれば嫌とは言えないからね」。
斎藤さんは笑顔を見せる。
これまでに400点以上を生み出してきた。
現在はひ孫(6)のために机や椅子を作ったり、幼稚園に木馬を贈ったり。
「絵本でなくても、作品のイメージが頭に浮かんでくるようになった。
作らずにはいられないね」
展示最終日の15日、98歳の誕生日を迎える。
創作意欲はとどまらない
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