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- ID:
- 26786
- 年:
- 2013
- 月日:
- 0207
- 見出し:
- 割り箸は黒くていいんです!森のめぐみを土に還す「郡上わりばしプロジェクト」
- 新聞名:
- Greenz.jp
- 元UR(アドレス):
- http://greenz.jp/2013/02/07/gujyou%E2%80%97hasi%E2%80%97recycle/
- 写真:
- 【写真】
- 記事
-
電気のない昔の生活に想いをはせるイベント「郡上八幡 ともしびのよる」でのひとコマ。
割り箸は日本の伝統文化です
全国的にマイ箸の輪が広がりつつある昨今。
割り箸を使うたびに何となく罪悪感を覚えたり、口にするものだけあって安全性が気になったりしませんか?
今回は、そんな割り箸に関するモヤモヤを解消してくれそうな「郡上わりばしプロジェクト」と”黒い割り箸”について紹介します。
黒い割り箸?と驚いた方もいるかと思いますが、それには後ほど触れるとして、そもそも割り箸って本当に環境を破壊する悪者なのか?といえば、一概にそうとは言えないところ
Greenz.jpの記事、『日本の森と林業の救世主?「和Re箸」を応援するファンドに投資はいかが?』でも詳しく紹介されていますが、森林を健やかに育てるために間伐、つまり間引きした木材や端材を使うのは環境破壊でなく資源の有効活用。
そのため国産の信頼できる割り箸を使えば、かえって日本の森林
は豊かになる、というのが実際のようです
木材の持ち味を生かした信頼の割り箸作り
その好例といえるのが、いよいよ本題の「郡上わりばしプロジェクト」。
森林が面積の約9割を占める岐阜県郡上市で、地元の林業者や主婦などの有志が2009年からはじめた取り組みです
このプロジェクトでは、森の育成計画に沿って正しく伐採されたスギ材のうち、色が悪かったり節が多かったりして木材市場に出しても値が付きにくい原木に注目。
まだ工場を持っていないため、金沢の製造会社への委託という形をとっていますが、割り箸を作って全国の飲食店などに流通させようと頑張っています
。
そして、その活動のなかで誕生したのが「郡上黒芯割り箸」と名付けられた割り箸です
普通の白い割り箸と比べ、かなり色が黒いのがお分かりでしょうか?
この黒い割り箸、もちろんわざわざ色をつけたりしていません。
スギの芯の黒い部分を生かして作ったもので、この黒色こそが漂白剤を使っていない何よりの証。
しかも、スギの黒芯部分は腐りにくいため、化学薬品を使った消毒や防腐処理なども行っていません
日本の林業を元気に!
ちなみに、このスギの黒芯部分は「割り箸は白いもの」という固定観念から、これまで割り箸の素材として使われてこなかったもの。
そして割り箸業界だけでなく、建築業界などでも「水分が多くて使いにくい」「色が悪い」という声があり、従来はあまり市場価値がなかったのです
割り箸に使う原木。
やはり芯が黒いですよね
実際、割り箸として製品化した当初は「スギの匂いが料理の邪魔をする」という意見が一部の飲食店から出たりと、苦しい出発だったとか。
しかし、いざ消費者の手に渡りはじめると、どうでしょうか。
「通常の白い割り箸よりも高級感があって、とてもいい香りがする」と好評を集め、岐阜県を中心に流通網が広がり
つつあります
欠点がみごとに長所へと変化した…という事実に素直に感動してしまいますが、それだけじゃあない。
割り箸業界でその価値が見直されれば、他の用途にも使われはじめるのではないか、というのが「郡上わりばしプロジェクト」の思惑。
既存の木材に今までと違う価値を見出し、新しい需要を生んで、林業全体
を元気にしたいと考えています
割り箸を使い捨てで終わらせないために
さらにさらに、「郡上わりばしプロジェクト」で注目して欲しい取り組みをふたつほどご紹介します
ひとつは、使用済み割り箸のリサイクル。
「割り箸って、ちょっと使っただけで捨ててしまうから、やっぱりもったいない!」と感じている方もいるかもしれません。
そこで「郡上わりばしプロジェクト」では、「使用済みの割り箸を回収し、畜産敷料として再利用した後、堆肥化し土に還す」というリサイクルシステムの確立を
目標としています
現在は流通量が少ないため、まだイベント等でしか実施されていませんが、自然から授かった木材という贈り物、その寿命が尽きるまでしっかり使わせてもらい土へ還す。
もし実現されれば素敵な取り組みだと思いませんか?
もちろん、これは薬品処理しない割り箸だからできること。
薬品処理が施してある外国産の割り箸などは安全な堆肥にはできないので、やっぱりもったいないんですよね
もうひとつが、箸袋を宣伝ツールとして利用した地域活性化
地元のめいほうスキー場で使われる「郡上割り箸」(「郡上黒芯割り箸」より心持ち色がうすいです)の箸袋に、地元の飲食店や施設で利用できるクーポンを印刷したのです。
スキー客に、スキー場以外の周辺施設にも目を向けてもらい、どんどん寄り道してもらおうという仕組み。
クーポンへの参加店舗も順調
に集まったそうで、どれだけ成果を上げるのか楽しみですね
割り箸は身近な存在だからこそ、多くの方にとって森づくりやまちづくりについて考える、いいきっかけになるかもしれません。
実際に飲食店で使ってみたい、パーティやイベントなどで使ってみたい、という方は、ぜひ「郡上わりばしプロジェクト」にご連絡を!
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