v11.0
- ID:
- 29152
- 年:
- 2013
- 月日:
- 1202
- 見出し:
- 女子ログ 木と人
- 新聞名:
- 山陰中央新報
- 元UR(アドレス):
- http://www.sanin-chuo.co.jp/sumai/modules/news/article.php?storyid=542832253
- 写真:
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- 記事
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この秋、私が地域おこし活動をしている地区に、地域の人の交流の場として古民家風の施設が造られた。
施設に入って見上げると、立派な梁(はり)があった。
裏の山から切り出された杉の丸太だ。
大工さんが丁寧に皮をむき、美しい木肌が見えるようにと仕上げた梁は、太く、非常に美しかった。
「なんてかっこいいのだろう」と、感動した。
大学時代から、里山の営みを勉強し、田舎を訪ね歩くことが多かった私は「人が一度手を入れた場所は、人が手を入れ続けなければならない」ということを現場で学んだ。
人がいなくなった村は、田畑の草が伸び放題、家は傾き、荒地になっていた。
私の住む鳥取県八頭町の山も、杉や檜(ひのき)がたくさん植えられている。
しかし、今は管理する人がほとんどいない。
この家の裏山もそんな山の一つだった。
人の手が加わった山は美しい。
暗かった杉林は開かれて日が差し、切り出された杉は立派な梁となり、家を支える重要な役割を担っている。
山や木の命を活(い)かし続けることができるかどうかは人の手にかかっている。
かつて訪ねた空き家を思い浮かべつつ思った。
人は木に守られ、木も人に守られながら生きてきた。
木と人の素晴らしい関係をこれからも大切にしなければならない。
一本の梁を見上げ、そんなことを考えた
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