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- ID:
- 27217
- 年:
- 2013
- 月日:
- 0326
- 見出し:
- フィンランド×イタリアのコラボが生んだ木のエコ・デザインスツール
- 新聞名:
- PUNTA
- 元UR(アドレス):
- http://punta.jp/archives/11379
- 写真:
- 【写真】
- 記事
-
多くのデザイナーにとって、母なる自然はインスピレーションの源であり、中でも木は大変魅力的な素材だ。
フィンランドの家具デザイナー、タピオ・アンティラは、その証拠ともいうべき「フラックス・スツール(Flux
stool)」という木製スツールの最新作を手掛けた。
「森と湖の国」とよばれ、歴史上、人と木とのつきあいが長いフィンランドから、この最も熱いウッド・デザインの誕生秘話を紹介しよう。
湖の形を見ているだけでも飽きることがないフィンランドの大自然
今回タピオ・アンティラがデザインした「フラックス・スツール(Flux stool)」は、かの有名なイタリアのデザインハウス、リーヴァ1920社(Riva 1920)が製品化を担当し、販売することが決まっている。
リーヴァ社はこれまでにもフィリップ・スタルクやマリオ・ボッタ、カリム・ラシッドといった大物デザイナーとのコラボレーションを手掛けてきており、日本ではアルフレックス・ジャパンが同社のコレクションを取り扱っている。
一本の木の幹を素材にしたスツールを作ろうというアイディアは、スケッチブックに描画を重ねているうちに生まれ、スツールのフォルムは「フィンランドの河川の流れに石がぶつかってできる渦と岩盤上に刻まれている渦の形からヒントを得た」のだそうだ。
フィンランド随所に見られるむき出しの岩には、何万年も
前にとけた氷河期の氷がからできた水流の姿が刻まれている箇所がある。
その水流の模様の中にもまた、同じような渦がしっかりと刻みつけられているのだ
石にせき止められて作られる水の渦
デザインの由来の通り、スツールの名前には「流れ」という意味の英語の「フラックス」がつけられた。
外観はあえて左右非対称で渦の流動性をとらえ、一本の木の幹で作られているスツールは、素材のわりには見かけよりも軽いのが特色だ。
この一見シンプルそうで複雑なデザインが実現するためには、リー
ヴァ社独自の木工技術が要となった。
アンティラは、「以前からリーヴァ社のエコフレンドリーな製品づくりへの取り組みや高度な木工技術には注目しており、同社のコレクションに私のスツールも加わるのは、この上ない光栄」と、喜びの色が隠せない。
自然をこよなく愛するフィンランド人デザイナーとして、環境に優しいプロダクトで認められることは
願ってもない幸せなのだ
アアルトから始まってタピオヴァーラやアアルニオの先が望まれているフィンランドの椅子デザインの歴史上、大きな前進ができたという点でも目覚ましい功績だ。
フルックス・スツールは、4月9日から開催の世界最大級の家具の見本市、ミラノ・サローネ国際家具見本市にも出典される。
勢いが止まらないフィンランドのウッド・デザイン、これからもその動向を見守っていきたい
渦の形をそのままにとらえたフルックス・スツール
側面から見てもうねりをあげて渦を巻いている形
タピオ・アンティラ
タピオ・アンティラ:ラハティ在住の家具デザイナー。
ヘルシンキ芸術デザイン大学を卒業後、数々のインテリアデザインを発表し、様々な分野のグッドデザイン賞を受賞。
リビングデザインセンターOZONEで行われたフィンランドのデザインイベント「ヒラメキ デザイン×フィンランド2012」にも出展
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