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- ID:
- 26946
- 年:
- 2013
- 月日:
- 0227
- 見出し:
- 大木枯死被害高知県19本 売買で高知の業者被告に
- 新聞名:
- 高知新聞
- 元UR(アドレス):
- http://www.kochinews.co.jp/?&nwSrl=299427&nwIW=1&nwVt=knd
- 写真:
- 【写真】
- 記事
-
ご神木などの根元にドリルで複数の穴を開け、薬剤を注入して枯死させる事例が、本県を中心に四国周辺で続発している。
本紙取材では、被害は樹齢数百年のスギやヒノキといった大木ばかりで、2005年以降、19本の本県を中心に少なくとも10カ所、計29本。
枯れてすぐ買い手が付くケースが多いため
、「何者かが買い取り、転売する目的で人為的に木々を枯らしているのではないか」と疑う関係者もいる。
愛媛県では、枯れたご神木の売買をめぐり、神社と高知の木材業者との間で民事訴訟に発展する事態も起きた。
直後「売却して」
「判明分以外にも被害は広がっているのでは」。
高知県内のある樹木医はそう語った。
自身の目で確認した以外にも「根元に穴が開けられ、木が枯らされた」といった情報を耳にしたことがあるからだ。
県神社庁や林野庁によると、県内の神社で確認された被害は、2005年12月~昨年5月の6年半に4カ所、12本を数える。
樹木医らの調査で、神社以外でも薬剤による枯死が判明。
11年に高知市五台山の国有林でクスノキ5本、昨年7月には宿毛市平田町の民有林でヒノキ2本が見つかり、県内被
害は全体で6カ所、19本に達する。
一連の出来事には、共通項がある。
枯死発覚後、すぐに木材業者が「売却してほしい」と持ち掛けてくる点だ。
県内6カ所のうち、4カ所は売却話が浮上。
実際に売買が成立したケースもある。
高岡郡四万十町の古城八幡宮では05年12月にヒノキ2本が850万円で売却された。
ここでも枯死発覚の直後、木材業者が愛知県から現れたという。
各神社庁などによると、薬剤注入による枯死は広がり、本県以外の四国周辺では4カ所、計10本の被害が判明した。
最多の愛媛県は、東温市の総河内大明神社と西条市の大宮神社で計6本。
徳島県美馬市の麻衣神社では3本、和歌山県かつらぎ町の丹生都比売(にうつひめ)神社でも1本が被害に
遭った。
「偶然見つけた」
愛媛県の総河内大明神社は昨年6月下旬、ご神木のヒノキ2本が枯れているのを住民が発見した。
およそ1カ月後、高知県から男性2人が同神社総代を訪ねてきた。
「あなた方では片付けられないでしょう。
自分らに任せて」
木材業者2社の代表を名乗る2人は、こう売却を持ち掛けてきたという。
神社の総代3人が、業者の1人と売買契約を締結。
ヒノキは2本で550万円の値が付いた。
ところが、伐採予定前日の同9月15日、氏子がヒノキの根元に複数の穴を発見。
3日後、松山南署に被害届を出し、捜査で除草剤の成分が検出された。
器物損壊容疑で捜査が始まった。
これと同時に、総河内大明神社と総代は「神社代表の宮司が契約に関わっておらず、正式契約ではない」「人為的に枯らされたことが判明した以上、契約は無効」などとして、売買契約の解除を求めて松山地裁に提訴した。
「木が枯らされているなんて、考えなかった。
契約を白紙にし、公開入札にしたい」
同神社の綿崎祥子宮司(64)はそう話す。
被告になった高知県の木材業者によると、大木の売買は建築業の副業として約3年前から始めた。
これまで3カ所の神社に話を持ち掛け、今回初めて契約に至ったという。
木材業者は「日曜に四国の山中を車で回って大木を探している。
今回は遊びに行き、偶然見つけた。
枯らされていたことは後で知った。
裁判になるとは思わんかった。
支払いも終えており非常に迷惑している」と言い、枯死の事情を知っているのではないかとの疑いを否定した。
そして付け加えた。
「枯らされた側にしたら、腹が立つでしょう」
薬剤で生命を絶たれた総河内大明神社のヒノキ2本は、昨年末に神社側が伐採し、保管している。
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