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- ID:
- 25974
- 年:
- 2012
- 月日:
- 1121
- 見出し:
- 国産材の木製玩具復活 香りや手触り…五感刺激
- 新聞名:
- 産経新聞
- 元UR(アドレス):
- http://sankei.jp.msn.com/life/news/121121/edc12112107520000-n1.htm
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国産の樹木を使い、地元の職人が加工した高品質な木製玩具が復活しつつある。
昨年度から住民の誕生祝いとして贈る自治体の事業もスタート。
デパートやイベントスペースでも人気を呼んでいる。
(村島有紀)
◇
木に親しむ
戦後、しばらくは玩具といえば国産だった。
しかし、認定NPO法人「日本グッド・トイ委員会」(東京都新宿区)によると、現在は国土の7割が森林という森林大国でありながら外国産に押され、木製玩具の国産割合は1%にも満たない
同会は、幼いときから国産の木に親しんでもらおうと、昨年度から新生児に、国産材を使って地元の木工職人が製作した玩具を贈る「ウッドスタート事業」を開始。
自治体に協力を呼び掛け、新宿区や熊本県小国町など6自治体が賛同した。
新宿区では姉妹都市の長野県伊那市と提携。
区民が出生届を出すと、伊那市で作った積み木やままごとセットなど7種類(各1万円前後)から一つを受け取る。
同会の多田千尋理事長は「森林を大切にする気持ちを育ててほしい。
年間で安定した需要が見込めれば地場産業の育成にもつながる」と話す
同会が運営する東京おもちゃ美術館(東京都新宿区)では昨年11月、国産スギで作った「赤ちゃん木育(もくいく)ひろば」をオープン。
平日でも約100組の親子が訪れ、木のトンネルや木馬で遊ぶなど好評だ
「ウッドスタート事業」で東京都新宿区民に贈られる国産木製玩具
安全性を重視
知育玩具の開発、販売などを手掛ける「幻冬舎エデュケーション」(渋谷区)は、人気玩具シリーズ「どうぶつしょうぎ」で、贈答品用として国産ヒノキを使った「特選」(3675円)を昨年11月から発売。
8千個が売れた。
銀座三越(中央区)でも国産の木製玩具を集めた企画展を今月6日まで開催。
孫の誕生祝いやクリスマスプレゼントなどを求める祖父母らでにぎわった。
出店したオークヴィレッジ(岐阜県高山市)によると、平成16年に約4千万円だった木製玩具の売り上げは、今年は既に2倍以上で好調という。
稲本正社長は「プラスチックでなく、着色もない安全な木のおもちゃを子供に与えたいというニーズが父母の間で高まっている。
木のおもちゃは五感を刺激する。
ケヤキ、ナラなど多くの樹木の香りや手触りを知ってほしい」と話している。
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■自給は100%可能
林野庁によると、国内で消費される木材は年間約7000万立方メートルだが、昨年の国産材の割合(自給率)は26.6%。
消費者が求める用途に合った樹木が少ないほか、林業が衰退して安定的に必要な量が得られないためだ
一方で、戦後、大量に植えたスギやヒノキを中心に年間約8000万立方メートル分の木々が成長し、供給量は増加中。
同庁木材利用課の高木美貴課長補佐は「単純に量だけ比較すれば国産材で100%自給できる。
人工林は適切に間伐をしないとひょろひょろになり、根が張らずに土砂崩れの原因にも
なる。
国産材の積極的な消費を呼び掛けたい」と話している
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