v11.0
- ID:
- えたい」とも
24535
- 年:
- 2012
- 月日:
- 0613
- 見出し:
- 「解体新書」80年前に精緻 江戸期京仏師の木製頭骨
- 新聞名:
- 京都新聞
- 元UR(アドレス):
- http://www.kyoto-np.co.jp/sightseeing/article/20120612000069
- 写真:
- 【写真】
- 記事
-
京都国立博物館(京都市東山区)に寄託されている江戸期の木製頭蓋骨が、京都の仏師によって実物と同様の正確さで作られ、はり・きゅうの経穴(けいけつ)(つぼ)が記されていることが、同博物館などの調査で分かった。
日本初の西洋解剖書の訳本「解体新書」(1774年)の登場より80年以上も前の
木骨で、研究者は「日本の医学史上でも貴重な発見ではないか」としている。
精密な人形制作でも知られる江戸前期の京仏師・初代清水隆慶(1659~1732年)が手掛け、大きさは実物の3分の2ほどにあたる。
博物館の淺湫(あさぬま)毅・保存修理指導室長(彫刻史)と、下京区で針灸(しんきゅう)院を開いている猪飼祥夫・北里大客員研究員(医学史)が昨年度に調査した。
木骨が収められていた箱書きから1689(元禄2)年の作と判明した。
老人の骨がモデルとみられ、骨の合わせ目部分から、口の中、歯までが解剖学的な正確さで緻密に作られていた。
表面には63の経穴が開き、「陽」「白」など、それぞれの名称の墨書や刻印があった。
経穴は制作後に開けられ、はり・き
ゅうの学習用に使われたとみられる、現在使われている経穴と一致するものも多かった。
淺湫研究室長は、隆慶が薬屋に嫁入りした娘に伝えたと考えられるといい、「当時は仏師の仕事が少ない時代で、人形などとともに木骨を制作していたのでは」と推測する。
猪飼研究員によると、隆慶の木骨はこれまでに知られている江戸期の木骨より100年以上古く、経穴が記されている木骨としては国内最古という。
解剖学や経穴に精通した人物も制作に関わっていたとみられ、猪飼研究員は「既に西洋から詳しい解剖学書が伝来していたのだろうが、図像が作者に伝わって
いたのかなど、今後より詳しい研究が必要だ」と話している。
調査結果は、京都国立博物館刊行の研究紀要「学叢(がくそう)」34号に掲載されている
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