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- ID:
- 24161
- 年:
- 2012
- 月日:
- 0426
- 見出し:
- シカ食害 木々散々
- 新聞名:
- 朝日新聞
- 元UR(アドレス):
- http://mytown.asahi.com/kumamoto/news.php?k_id=44000001204250001
- 写真:
- 【写真】
- 記事
-
九州各地の山林で、急増したニホンジカの食害が深刻だ。
県内の山中ではヒノキやスギの表皮が剥がれ、下草は全滅に近いところもある。
県は生息域の拡大を防ぐため、シカネットを張るなどの対策をとってきたが「これまでの対策では限界」としており、頭を抱えている。
一方で、シカを捕獲する猟友会も高齢
化が進み、新たな対策が急務だ
「ほとんどやられているでしょう」
長年、シカ猟を続けている錦町の木崎貞典さん(82)と、近くの山林に入ると、上下約1メートルにわたって幹の皮が剥がれているヒノキやスギがあちこちで目立った
「皮の中に『甘皮』という甘い部分がある。
シカはこれを好んで食べます」。
表皮がまだささくれ立つのはシカに傷つけられて間もない木という。
目に付いた直径30~50センチのスギやヒノキは、ほぼすべてが傷ついていた
九州森林管理局(熊本市)によると、九州のシカの生息域はこの25年間で1・5倍以上に拡大した。
適正頭数の8倍にあたる約28万頭が生息しているとみている。
最近は特に熊本、宮崎の県境や鹿児島県北西部の山中で食害による森林崩壊も発生しており、土砂が流出するなどの事態を招いている
同管理局は、シカが増えすぎた原因について、20世紀には10年に1度程度起きていた大雪が温暖化の影響で減り、シカの大量死がなくなった▽過疎化によって人里までシカが生息範囲を広げた▽2007年までの半世紀、メスジカの狩猟が禁止されてきた――などの原因が絡み合っていると分析する
さらに深刻なのは、県内に約5千人いるとされる狩猟者の高齢化だ。
1998年当時、60歳以上が占める割合は42%だったが、10年には66%に増えた。
一方、40代までの若手層は29%から11%に減少。
30代で猟友会に入った木崎さんは「高齢化が進み、猟友会の会員でも常に山に入れるわけでは
ない」と話す
大きなシカは体重約100キロに達する。
ワナにかかったシカが暴れると角が刺さりそうになることもあるという。
高齢になるほどその危険性は増す
シカの増加は山の環境にも影響を及ぼす。
熊本南部森林管理署の石神智生署長は昨年9月、人吉市の山中で見た光景に驚いた。
イタドリやスズタケといったシカが好む植物はなく、シカが嫌う植物だらけだったからだ。
下草は勢いよく群生し、葉を好む毛虫がびっしり。
石神署長は「放置すればガの大量
発生にもつながり、生態系への悪影響は確実」と懸念する
県は10年の推定で3万3千頭とされるシカを、来年までに7千頭まで減らす計画だ。
04年以降の捕獲頭数は毎年1万頭以上にのぼっている。
本来いなかった地域のシカは全て捕獲する方針で、自然保護課の平井博英課長補佐は「適正頭数になるまで着実に頭数を減らすしかない」と話す
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