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- ID:
- 23870
- 年:
- 2012
- 月日:
- 0328
- 見出し:
- 25年間で木製ミニチュア1000点
- 新聞名:
- 朝日新聞
- 元UR(アドレス):
- http://mytown.asahi.com/ehime/news.php?k_id=39000001203270001
- 写真:
- 【写真】
- 記事
-
趣味で磨く 職人技
松山の木型職人・松下さん
自転車にドラム、みこし、松山城――。
あらゆるものの木製ミニチュアを作り続けてきた職人が松山市にいる。
25年間で作った数はざっと1千点にのぼる
松山市堀江町の木型職人松下節夫さん(63)。
自宅には、ところ狭しと木製の作品が並ぶ。
40センチほどの自転車はペダルを回すと後輪が回り、ハンドルに合わせて前輪も左右に動く。
ドラムセットはシンバルが動き、たたけば小さな音も鳴る。
松山城や水車小屋は中に明かりがつく仕組みで、弾を出し
入れできるピストルの模型もある
松下さんは、部品加工・製造などを手がける「松山機型工業」(松山市)で、木型を作る職人として15歳から働いている。
25年ほど前、廃材で、父が乗っていた底引き網漁船を作ってみた。
図面通りに作る日頃の仕事と違い、想像力を働かせてものを作り上げる作業に、はまった
好きだった音楽や祭りにちなみ、ギターやみこしと次々に作った。
「木は想像したものになってくれる」
のめり込んだ理由はもう一つあった。
木型職人は、手作業で木を削り、部品などの型を作る。
商品の出来は職人の技術力次第だ
初代社長の故村瀬治さんは「仕事が終わってすぐ帰るより、自分で頭を使って何かを作った方が技術が上がる」 と、松下さんらに仕事以外でも、ものを作ることも薦めていた。
「職人は一人前になるまでに何年もかかる。
趣味でもいいから、一日中何かしら作り続けることで、力がついていく」 と松下さん
ほどなくして、松下さんの趣味は社内外に知れ渡った。
同僚の新築祝いや懇親会の景品に松下さんが作ったミニチュアを求められるようになった。
会社の通路にも、200分の1サイズの社屋の模型が飾られる
野中健次社長は「(松下さんの)見ただけで形にしていく技術力はすごい。
その向上心や工夫が仕事にも生かされていて、いつも早くて的確」 と話す
松下さんが働きだした1960年代当初、従業員数人の小さな町工場だった会社も、今では約150人が働く最新工場となった。
機械加工が中心となり木型職人は5人。
松下さんは、社内でも一番の古株だ
引退も頭をよぎるなか、今は技術力の継承に力を注ぐ。
松下さんは「今まで作ったものは型紙や設計データもとってある。
仕事も趣味も、両方継いでくれる若手を育てたい」と話す
ミニチュアを見たい人は松下さん(089・978・6829)まで。
土日祝日か、平日の午後5時以降に
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