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ID:
51750
年:
2011
月日:
1003
見出し:
コアラもビックリ!ユーカリ木炭で製鉄
新聞名:
産経新聞
元UR(アドレス):
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/111001/biz11100112000010-n1.htm
写真:
【写真】
記事
住友金属工業は、10月から二酸化炭素(CO2)排出量がほぼゼロとなる高炉一貫製鉄所をブラジルで稼働させる。
原料用石炭の代わりにユーカリの木を蒸し焼きにした木炭を燃料に使用するのが最大の特徴で、ユーカリが生育中に吸収するCO2と高炉から排出するCO2の量はほぼ同じだという。
地球 温暖化防止につながる“エコ高炉”として、大きな注目を集めそうだ ブラジル南東部のミナスジェライス州ジェセアバ市。
人口数千人の小さな町に、住金と仏鉄鋼大手・バローレックによる木炭高炉が完成した。
鉄鉱石の還元に使われる木炭は、「琵琶湖とほぼ同じ面積(670平方キロ)」の大規模なユーカリのプランテーションから得る。
粗鋼生産規模は年間約100万トン で、和歌山製鉄所(和歌山市、386万トン)や鹿島製鉄所(茨城県鹿嶋市、682万トン)と比べて小粒だが、ユーカリの木炭は原料炭よりも安価で、コスト優位性も高いという。 さらに、鉄をもろくする硫黄含有量が石炭よりも少ないなど品質面も優れている。
100万トン規模の高炉の場合、木炭を使用すると年間のCO2排出量は30万トンで、石炭を使う従来型の高炉と比べ7分の1と大幅に少ない。
住金はこの高炉一貫製鉄所で石油や天然ガス掘削などに使われる高級シームレ スパイプ(継ぎ目無し鋼管)を製造する計画だ 鉄鉱石などの資源は豊富なブラジルだが、良質の原料炭は乏しく、石炭は海外から輸入するケースが多い。
製鉄所が内陸部に位置する場合、港に石炭を荷揚げして輸送する手間やコストが大きく、ブラジルでは早くからユーカリの木炭を使用した小規模な木炭高炉が存在していた。
さらに品種改良を行っ た結果、7年で苗木が高さ約30メートルの成木になるユーカリの開発に成功、木炭高炉の生産効率化に弾みをつけた。 ユーカリ栽培では、住金はプランテーションを7カ所に分け、植林と伐採を循環させている。
順調にいけば、2015年には完全自給態勢が整う見込みだ。
環境への配慮のためユーカリの害虫駆除には化学物質を使用せず、生態系に影響を与えない天敵を研究したり、農地改良では大型のミミズを利用し ている。
伐採したユーカリを木炭にする際にも、温度管理を厳格に行うことで燃焼効率を高め、CO2削減につなげている。 木材を石炭の代替とする取り組みは国内の鉄鋼メーカーでも広がっている。
新日本製鉄釜石製鉄所(岩手県釜石市)にある石炭火力発電所では、昨年10月から山林で放置された間伐材を燃料として活用している。
東日本大震災で発電所は稼働停止となったが、7月の稼働再開を経た後、間伐材の使 用も復活した。
間伐材をチップ化し、石炭全体の2%程度を混ぜ合わせて燃焼。
この結果、石炭使用量を年間2800トン減らすことが可能で、約7000トンのCO2削減を見込んでいる。 農林水産省の試算によると、全国の山林で未利用の間伐材などを活用すれば、発電可能量は100万キロワットと、原発1基分に相当するという。 石炭に代わって木材を活用した製鉄法や発電は「改良の余地もあり、決して古い技術ではない」(住金)が、化石資源の活用が広がる中、長らく放置されてきた技術だった。
CO2削減が大きな経営課題となる中、森林との共存をいかに円滑に進めるかが鍵を握っている fff:
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