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2011年- 市役所本庁舎正面 |木製品、木、木工などのネット新聞情報 |木の情報発信基地
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- ID:
-
3作品は7月8日まで、市役所本庁舎正面玄関のエレベーター乗り口前に展示されている
50863
- 年:
- 2011
- 月日:
- 0629
- 見出し:
- 湖東地域材循環システム協議会 「顔の見える」地域材
- 新聞名:
- 毎日新聞
- 元UR(アドレス):
- http://mainichi.jp/area/shiga/report/news/20110628ddlk25040603000c.html
- 写真:
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- 記事
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QRコードで製材過程管理、古紙と間伐材で新製品
湖東地域の森林組合などでつくる「湖東地域材循環システム協議会」(愛称・kikito)=東近江市池庄町=が、地元の森林資源の活用・保全に取り組んでいる。
今春から古紙と間伐材パルプでできたコピー用紙を同市に納入し、製材過程をQRコードで管理した「顔の見える」地域材の取り扱いも始めた。
今
年は国連が定めた「国際森林年」でもあり、産業と環境保全を両立する森林経営のあり方を訴えていく考えだ。
【石川勝義】
同協議会は08年5月、木材業者やNPOなど22団体で発足した。
主な活動地域は東近江や彦根など2市5町。
これまで間伐材や通常捨てられる小径木を使い、コピー用紙やメモ帳などを開発、売り上げの一部は枝打ちや間伐の費用に充てている。
地域材の安定供給や、林業を維持できる原木価格の
設定、森林の二酸化炭素(CO2)吸収・固定の認証なども実践している。
同協議会によると、発足の契機は地元から寄せられた「地域材で家を建てたいが手に入らない」という声だった。
山から木材を運び出して利用する場合、建築材料として使える割合は多くても5割程度。
同協議会の山口美知子副事務局長(38)=東近江市緑の分権改革課主幹=は「建築材だけ欲しがるの
はマグロのトロだけを買うような感覚。
売る側は全てに値が付く材木市場で売る」と話す。
県内には甲賀市や長浜市に市場があるが、三重県への流通も多い。
地元の建築材を得るには間伐材なども地元で消費し、利益を地元の森林に還元する仕組みづくりが必要だった。
同協議会は間伐材などを消費するための紙製品を開発した後、流通経路を変えるため市場より高い買い取り価格を設定した。
国産スギの全国平均価格は1立方メートル当たり約1万1700円(09年度)だが、同協議会はこの約1・5倍で購入。
同2万3600円(同)のヒノキは2万5000~2万6000円だ
。
1トン3000~4000円で取引される間伐材や小径木も6000円。
合言葉は「山にお金を還そう」だ
価格には50~100年単位の森林維持に必要な経費をあらかじめ盛り込み、額を決める話し合いには1年を費やした。
木造の家を新築する場合、木材価格は平均百数十万円だが、同協議会を通じると1・7倍程度になる。
現在は協議会メンバーの工務店や設計士が買い取りの原資を出し、在庫の大半
も自ら購入する予定。
今後、協議会の取り組みを軌道に乗せるには、価格に納得して地域材を買う人を増やしていく必要がある。
上乗せ分の費用がきちんと森林整備に充てられるかも今後の課題。
山口副事務局長は「山主さんたちと整備について協定を結ぶなどし、枠組みをつくりたい」と語る。
同協議会の取り組みは意外な波及効果ももたらした。
「びわこの森」を意識して「木」にも「水」にも見えるようデザインしたロゴが受け、アパレルメーカーと協力したエコバッグなどを製品化。
木材と関わりのない人にも森林問題を考えてもらうきっかけになったという。
同協議会事務局の横山晴香さん(24)は「今まで山と関係がなかった人にも関心を持ってほしい。
Kikitoに森林と地域の人々をつなぐ役割ができれば」と話している
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