v11.0
- ID:
- 48148
- 年:
- 2010
- 月日:
- 1014
- 見出し:
- 「現代の大工」の技―山田邸(市内菖蒲)ついに完成
- 新聞名:
- タウンニュース
- 元UR(アドレス):
- http://www.townnews.co.jp/0610/2010/10/14/73325.html
- 写真:
- 【写真】
- 記事
-
伝統的な大工の技術にこだわった家づくりに取り組む(有)谷工務店・谷和雄社長が手掛けた、曹洞宗東光院(秦野市菖蒲1239)・山田道成住職の自宅新築工事がこのほど完成した。
谷さんは、今年2月に開催された鉋がけの全国大会「全国削ろう会秦野大会」で実行委員長を務め、また「テレビチャンピオン大工王選手権」での優勝など、優れた技術の大工職人として知られている。
今回の工事は、谷家の菩提寺でもある同寺院山田道成住職からの依頼によるものだ
木の温もりあふれる新しい住まいでは、住職をはじめ3世代7人が生活する。
ご先祖、家族が
集うリビング
この住宅の構造は木造2階建で、柱や梁また腰板・床板など建物全体に「丹沢産」の桧や杉を使用しているのが特長だ
1階部分の中央に配置されているのが、24・5帖の広々としたリビングダイニングだ。
設計前に住職から示された「ご先祖が中心の家」「食事を共にする二世帯住宅」のコンセプトに応えて、リビングのほぼ中央の壁面に仏壇を配置。
また若い世代が暮らす2階からの階段も直結させた。
さらに細部に目を配ると、手鉋仕上げによって鏡のような光沢を放つ「6寸桧柱」、重厚な梁(はり)と真っ白な漆喰の調和が見事な「格(ごう)天井」、表面から金物が見えない仕上げなど、卓越した職人技が結集した空間であることが分かる。
粋な遊び心の
玄関ホール
建物全体に伝統技術が駆使された一方で、独創的な仕事が施されているのが「玄関ホール」だ
一般的に玄関の床面はタイルやコンクリート等で仕上げるが、この玄関には「桧板」を敷き詰めた。
さらに、丹沢の桧にこだわった特注品の「建具」、厚さ7・5センチ長さ3・6メートルという杉の1枚板の腰掛、天井には地元の陶芸家・伊藤麻沙人氏作の陶板をディスプレイ。
玄関までのスロープを石貼りにして
泥や雨水を上がりにくくするなどの工夫を施しつつ、山田住職と谷さんの粋な「遊び心」があらわれたポイントだ
10月5日の竣工式を終え、谷さんは「先祖代々お世話になっている東光院の庫裏新築工事を任せてもらえたのは光栄なこと」と感謝を述べた。
さらに「大工や建具、左官などそれぞれの職人が力を合わせ無事に完成できた。
住職やご家族に喜んでいただければ嬉しい」と話した。
奈良「東大寺」にも使用
樹齢100年超の丹沢桧
今回使用した丹沢産の桧・杉材は、諸戸林業(株)(本社/三重県)の山から伐り出されたものだ
同社の所有する市内寺山の森林は今年4月、文化庁が認定する「ふるさと文化財の森」に認定されている。
また、樹齢100年を超える丹沢桧は、奈良・東大寺内にある総合文化センター金鐘ホールの建設にも材料として納められている。
山田住職の邸宅には、この材と同じ木から製材した柱も使われてい
る。
昨夏、谷さんと住職が諸戸の山に入って”原木の選定”からスタートした今回の新築工事。
住職は「地元の名木を使わせていただきありがたい。
『本物』にこだわって良い住まいができた」と喜びを口にした。
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