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ID : 2600
公開日 : 2007年 1月29日
タイトル
里山の暮らし 「農」に生きる人々の模索
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新聞名
日本海新聞
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元URL.
http://www.nnn.co.jp/tokusyu/satoyama/070128.html
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元urltop:
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写真:
 
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山あいの集落から人が、産業が減り、そこでの暮らしが困難になると、また人が減って、営々と耕されてきた農地が少しずつ山へと返っている。時代の流れにのまれ縮小していく山間部の集落で、人々は五年、十 年先の生活も危ぶむ。山間部で生き続ける方法を見出そうと、「農」に携わる人々の模索が続く中、里山の暮らしを支えてきた農林畜産業に明るい兆しが見え始めてきた。 -------------------------------------------------------------------------------- 町内産の木材が集まる日南町の木材市場  総面積の約90%を山林が占める日南町。そのうち約60%の一万八千ヘクタールは造林地だ。同町森林組合の入沢宏組合長は「懐はたくさんある。日南町の山を生かして、飯が食える産業にしなければ」と林業の復興 を志す。
 町内の森林の年間成長量は、県内で一年間に建てられる木造住宅の木材すべてが賄えるほどだという。しかし、山から木を切って出せば赤字になるのが現状だ。「マイナスになっていたものをゼロに、ゼロのものをプ ラスにしよう」と昨年一月、町内の林業関係者らが出資して株式会社「オロチ」を設立した。
 町内に工場を新設し、町産の木材を住宅用構造材に加工する。流通を合理化し、付加価値を付けて販売するとともに、町内に雇用の場も創出。さらにエネルギーは木質バイオマスを利用する計画で、本年度中の操業 を目指す。まさに町の資源を最大限に活用した体制が整うことになる。 県境越えた連携  輸入材に対抗しようと、県境を越えたプロジェクトも動き出した。昨年十月、鳥取県の日野川と島根県の斐伊川流域の林業、木材加工などの関係者が集い、「日野川・斐伊川流域連携林業・木材産業活性化プロジェクト 研究会」が発足した。
 輸入材の脅威は、規格のそろった木材が大量に供給されること。住宅様式の変化と相まって、国内林業は見る間に席巻された。そこで、環境条件の近い地域同士が協力し、均一な木材を大量に供給して低コスト化、効 率化を図ろうとしている。 国産材の時代  こうした動きを後押しするように、造林学を専門とする鳥取大学農学部の山本福寿教授は「国内林業は今、転換期を迎えている。うまくやれば、これから国産材の時代がくる」と分析。その理由に、戦後に拡大造林した人 工林が利用可能な木材資源に成長▽環境問題への関心が高まり、森林に対するニーズが多様化▽加工技術が向上し、細い材木でも利用方法が広がった-などを挙げる。
 かつて日本の木材輸入額は世界一位だった。近年は経済発展著しい中国が台頭し、二〇〇三年の輸入額で日本は、米国、中国、ドイツに次ぐ四位となっている。輸入材に比べて国産材は高額とのイメージがあるが、丸 太価格は一九九一年ごろから、角材価格は九五年ごろから逆転し、国産材の方が安くなっている。 山元に還元  問題は国産材価格が下がるのと平行して、山元(森林所有者)に支払われる立木価格も下がっていること。これではいくら国産材の需要が増えても林業で生活していけない。山本教授は「生産、流通、加工のコストを削 減し、広域連携で安定供給態勢を確立すれば、山元に利益が還元できる」とオロチや流域連携の取り組みを応援する。
 里に住む山元が再び潤えば、植え育て伐採する林業のサイクルは活気づき、山が再び豊かな資源を生み出す日も近い。
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