ID : 2103
公開日 : 2006年 11月17日
タイトル
国産材のマーケティングと世界の亀山工場
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新聞名
新建ハウジング
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元URL.
http://blog1.s-housing.jp/article/27725573.html
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元urltop:
-リンク切れ-
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写真:
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国産材の話。NPO九州森林ネットワークさんのシンポジウムでも話したのだが、山側と町側のギャップがあるように思う。で、そこを埋めるのがマーケティングだ、と考えている。
山側(の中で真面目な人)は「真面目に良い材を出しても、それを評価して適正価格で購入してくれるつくり手がいない」と言う。
町側(の中でも真面目な人)は「良い材を適正価格で出してくれる山・製材所がいない」と言う。
要はこの「真面目な人」同士のマッチングがうまくいっていないのだ、と。もしくは近くの山と町に真面目な人がそれぞれいるのに、お互いあきらめてしまっていて、出会う機会すら失っているのかもしれない、と。
極論を言ってしまうが、「市場」(いちば)というのは需要と供給のマッチングの場で、そこで価格が形成される、本来は合理的なシステムであるのだが、「真面目な人」にとっては不合理な場合もある。で、今うまくいってい
る国産材の山と町の関係をみると、真面目な山+製材所と真面目な工務店が「直結」しているケースが大半を占めているように見える。
そして、出会った真面目な山と町の人が「良い材」について共通の言葉とルールをつくっていき、規格に落とし込む。そこに参加する真面目な人が増えていき、その言葉とルールと規格材を使っていく。こんな真面目なネ
ットワークをマーケティング発想で地道に拡大していくのがひとつだと思っている。
さらに。マーケティングとは、「誰に」「何を」「どうやって」提供するかを、考え抜くこと。山も「誰に」「何を」「どうやって」を考え抜き、「絞り込む」べきだ、と思うのだが、これはきれいごとに過ぎるだろうか。
わかりやすく言うと、ハウスメーカーにだけ売る山、パワービルダーだけに売る山、完全規格材だけを工務店に売る山、こだわりの設計事務所・工務店に「物語」付きで売る山、近くの町・流域沿いのつくり手だけに売る山
、といった具合に(これはあまりにもデフォルメした例だが)。いずれはこうした住み分けが、林野庁の「新生産システム」などのからみもあって自然に出来ていくかも、とも思っている。
もうひとつ。シャープのCMを見ると、最近は「世界の亀山工場」を前面に出しブランディングしてきているな、と感じる。工場の品質・信頼性をUSP(ユニーク・セリング・プロポジション:独自の売り)に据えるという珍し
いマーケティングで、なるほど、と思った。
これを国産材のアピールに使えないか、とふと思った。製材所の品質・信頼性を前面に出す。製材所を「見える」化し、「展示場」化し、「伝道師」化していくのも、ひとつの方法ではないか、と。
地道な方法だが、真面目な工務店がWEBやブログでもっともっと山・製材所を紹介して、山・製材所もそれに応えてもっと「見せる」体質に改善していく、といったところからだろう。
国産材については新建ハウジングでもこのブログでもさらに注力して追いかけていきたい。いまが「機会」だからだ。
(写真は林野庁の予算でやっている「顔の見える木材での家づくりデータベース」。すでに製材所とつくり手が組んだネットワークも多々あって、小さな成功事例は増えてきたが、まだ大きなうねりにはなっていない。一つ
ずつ訪ねてみたいな、と思う)
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