ID : 15666
公開日 : 2010年 4月 8日
タイトル
<熱帯雨林の叫び>(3) 動物の園、川辺に異変
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新聞名
中日新聞
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元URL.
http://www.chunichi.co.jp/article/feature/cop10/list/201004/CK2010040402000166.html
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元urltop:
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写真:
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熱帯雨林に朝を告げるもやが晴れ、青空の下で多彩な緑がさえわたる。マレーシア・ボルネオ島のキナバタンガン川に棲(す)む動物たちが一斉に目覚め始める。
ボートで川を下ると、枝の上で足を伸ばして不用心に眠るテングザルを見つけた。その名の通りの長い鼻。ボルネオ島だけに棲む希少動物だ。
目覚めたボスらしい雄ザルが、あぐらをかいて朝食にとりかかる。周囲では早起きの子ザルたちが好物の葉をつまんでいる。
上空では「燕(つばめ)の巣」を生み出すアナツバメの群れが弧を描き、頭に角のような突起を持つサイチョウが大きな羽を広げる。
川辺の景色に見慣れてくると、異変が目につく。木々の間からのぞく、あまりに画一的な森の影。すぐ背後にアブラヤシの農園が迫っている。
◆人工林、すみかを分断
20年以上前、キナバタンガン川流域の開発は木材伐採から始まった。木材を船で運ぶため、業者は川沿いに目を付けた。自然林をはぎ取り、パーム油を採るアブラヤシの人工林に変えた。
野生動物の保護調査を手掛ける地元の州職員のアブドゥル・サマウさん(55)は、「人間も動物も暮らす水辺が、一方的に取り上げられてしまった」と寂しげに振り返る。
川の流域に19カ所の保護区が設けられ、野生動物は点在する森の中でかろうじて生き延びる。森と森の間は動物が棲(す)めない人工林で分断されている。多くの保護区は川に沿った細長い区域で、幅わずか十数メー
トルという狭い場所もある。
アブドゥルさんは「動物は細い回廊に追いやられている。もし火災や洪水が起これば、逃げ出せず全滅してしまう」と心配する。
◇
この地域から採れるパーム油は日本へも大量に輸出される。大阪市の洗剤せっけんメーカー、サラヤも恩恵を受ける企業の一つ。ヤシ類の油を原料にした植物洗剤を40年近く作り続けている。分解されやすく、排水が
川や湖を汚さない。「環境にやさしい」がふれこみだった。
だが、更家(さらや)悠介社長(58)は6年前に出演した環境問題に関するテレビ番組で、別の側面を思い知らされる。えさ場を失ってアブラヤシ農園に入り込んだ子ゾウが、わなにかかって傷つく映像。「こんな惨状は
意識していなかった」と驚いた。原料の仕入れは商社に任せきりで、現地の事情には疎かった。
テレビを見た消費者から「熱帯雨林を壊す洗剤はもう使わない」「社長が知らないとは何事だ」との電話や投書が相次いだ。
すぐに職員を派遣した。「川沿いは希少動物が間近に見られる。素晴らしい環境」との報告が届く。それは、「動物が細い回廊に追い詰められているから」という理由も添えて。
「われわれは原料がもたらす環境破壊を知らなすぎた」。更家社長は痛恨の思いを忘れない。その後は自ら環境に負荷をかけていることを認め、売り上げの1%を熱帯雨林保護のために寄付している。野生動物を守り
つつ、パーム油を使える環境をいかにつくるか、模索が続く。
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