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ID : 11388
公開日 : 2009年 4月16日
タイトル
飛島建設、地中カーボンストック技術の温室効果ガス削減効果を検証
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新聞名
日本経済新聞
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元URL.
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=218206&lindID=5
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元urltop:
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写真:
 
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飛島建設、地中カーボンストック技術の温室効果ガス削減効果を検証 地中カーボンストック技術の温室効果ガス削減効果を検証 -丸太打設による地盤改良の実物大実験により、施工におけるCO2排出量と貯蔵量を比較-  飛島建設(株)(社長・篠部 正博)は、福井県雪対策・建設技術研究所(所長:田中 房一)、早稲田大学濱田政則教授、福井工業高等専門学校吉田雅穂准教授と共同で、地盤改良の実物大実験により木材による地中カ ーボンストック技術が温室効果ガス削減に効果のあることを検証しました。
 平成20年3月からスタートした実物大の実験施工を行い、丸太に貯蔵された炭素量と一連の工事によって排出された二酸化炭素量を計測し収支を求めました。これにより、木材による地中カーボンストック技術による 地盤改良が温室効果ガス削減に寄与できることを検証しました。この事実を示すことで、土木事業においても木材を積極的に使用する足掛かりとなることが期待されます。
【検証実験概要】 実施時期 :平成20年3月より(木杭の打ち込みは平成20年10月、現在計測継続中) 実施場所 :福井県敦賀市泉 共同実施者:福井県雪対策・建設技術研究所,早稲田大学,福井工業高等専門学校 ○二酸化炭素排出、貯蔵量計測の概略工程  現在、実大規模の丸太打設による軟弱地盤対策実験をH20/3より実施し現在も継続中ですが、木材の伐採から丸太打ち込み(H20/10)の期間中に実際の工事に関連する二酸化炭素排出量と丸太による炭素貯蔵 量を計測 ○現場実験ヤードの概要(図-1)  砂礫の良好な地盤に深さ4m、地表部で幅13m、長さ28m、底部は幅5m長さ20mの溝を掘り、そこにヘドロ状の土質を投入し、人工の埋土地盤を造成 ○地盤対策パターン  埋土地盤を4区画に分け、  ・丸太を0.5mピッチで打設  ・丸太を1.0mピッチで打設  ・無対策(プレローディング工法に対応)  ・土木シートによる地盤対策 ○丸太の樹種、形状  スギ  末口0.15m,長さ3m ○その他工事  サンドマット厚さ0.5m  載荷重として盛土高さ1.5m ○二酸化炭素計測概要  ・排出量:丸太の伐採搬出から加工、運搬、丸太打設、サンドマット敷設、盛土造成工事における使用燃料の量や電力などを実測  (既往の資料を用いて、地拵え、植付け、下刈り、除伐、枝打ちといった工程や、これらの工程で通勤によって排出される二酸化炭素量も考慮,なお一部既往文献に示されているデータを利用)  ・貯蔵量:使用した丸太の体積より炭素量を実測(表示は二酸化炭素換算としています) ○運搬距離  丸太の運搬距離68.3km、サンドマットの運搬距離9km、盛土の運搬距離2km ◆図-1 現場実験ヤードの概要  ※ 関連資料参照 【各作業における二酸化炭素排出量の比較】 ◆図-2 丸太による炭素貯蔵量と、各作業による二酸化炭素排出量  ※ 関連資料参照  図-2は、丸太を0.5mピッチに打設した場合の丸太による炭素貯蔵量と各作業による二酸化炭素排出量を示したグラフです。本工事の場合、工事による二酸化炭素排出量よりも丸太による炭素貯蔵量の方が大きく 上回り、工事することが二酸化炭素削減に寄与することが確認されました。
 全工程では、伐採搬出、丸太打設、サンドマット、盛土作業工程で二酸化炭素排出量が多くなっています。一方、地拵え~枝打ちの工程における二酸化炭素排出量は極めて少ないことがわかります。作業別の内訳では、 伐採搬出では作業員の現地往復(通勤)に掛かる排出の割合が大きく、サンドマットと盛土施工においてはダンプ等の運搬による排出の割合が大きくなっています。
【各地盤改良方法による二酸化炭素排出量の考察】  図-3は、各地盤改良方法の違いによる二酸化炭素排出量(貯蔵量)の比較です。無対策はプレローディング工法として表示し、スギ丸太を0.5mピッチ、1.0mピッチで打設した場合との比較を行いました。
 また、盛土の運搬距離を50km、100kmとした推計も行いました。それぞれの値は、既往の原単位データと工事量などから推計したものです。図中破線は、原単位に今回の実測結果を用いたものです。原単位として 既往のデータを用いた場合も、実験結果を用いた場合も大きな差がないことがわかります。次に、通常の地盤改良工事において最も二酸化炭素排出量が少ないと考えられるプレローディング工法においても二酸化炭素 は排出側にあり、盛土運搬距離が大きくなるとその排出量も大きくなることがわかります。一方、本地中カーボンストック技術を用いた地盤改良を行うことで、二酸化炭素排出量は貯蔵側に転じます。ただし、丸太1.0m ピッチの地盤改良が示すように材料の運搬距離などが大きくなると二酸化炭素の収支は二酸化炭素排出側となってくることが理解できます。
 したがって二酸化炭素収支をできる限り貯蔵側にさせるには、丸太を多く利用する以外に、工事による排出量を低減させること、特に、ダンプなどによる材料の運搬距離を小さくし、丸太とともに盛土材料なども地産 地消とすることが有効であることがわかりました。実際に工事を施工する際は、このような条件を考慮し工事をすることにより、二酸化炭素排出量を減らすばかりではなく、さらに積極的な地球温暖化防止対策として、確 実に貯蔵量を増やすことが必要だと考えられます。
◆図-3 各地盤改良方法による二酸化炭素貯蔵量の比較  ※ 関連資料参照 【今後の展開】  実際に丸太を打設する工事を行い、丸太による炭素貯蔵量と工事によって排出される二酸化炭素量を実測することにより、一般に工事を行うことで二酸化炭素排出となる工事が逆に二酸化炭素削減に寄与できること を検証しました。また、二酸化炭素排出の大きな要因について、盛土などの材料運搬の影響が大きく、実際の工事においてはこれをいかに小さくし、地産地消とするかが重要であることも確認できました。
 今後、現在実施中の地中カーボンストックによる地盤対策方法と地下水位変動域以浅で腐朽が心配される領域における腐朽対策方法について順次検討を進めます。
 本検討結果については、2009年7月16-17日に秋田市民交流プラザで開催される第8回環境地盤工学シンポジウム(主催:(社)地盤工学会,共催:秋田県立大学)で発表する予定です。
 なお、本研究において二酸化炭素収支の計測は,独立行政法人日本学術振興会の科研費(20246078)の助成を得て実施したのものです.
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