ID : 11353
公開日 : 2009年 4月16日
タイトル
ロシアに翻弄される木材事業-資源ナショナリズムで廃業の憂き目も
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新聞名
ブルームバーグ
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元URL.
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90003017&sid=aln1YiCa_F5U&refer=jp_news_index
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元urltop:
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写真:
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4月15日(ブルームバーグ):世界のエネルギー秩序を揺るが すロシアの資源ナショナリズム。翻弄(ほんろう)されているのは、サ ハリン2などの巨大エネルギープロジェクトだけではない。ロシアの
産業政策の転換で富山県の中小木材業者にも影響が波及、一部は廃業 の憂き目に遭っている。
林野庁によると、日本の木材自給率は2割前後で8割を輸入に頼 る。中でもロシアは最近まで日本向けのカラマツやアカマツなどの丸 太の最大の供給国だった。しかしロシア政府は、より付加価値の高い
製材産業を育成しようと、07年に6.5%だった輸出関税率を08年4 月までに25%へ段階的に引き上げた。この結果、大打撃を受けたのが 日本の木材産業だ。
ロシアからの輸入量は07年は404万立方メートルと全輸入量の 45%を占めていたが、08年は181万立方メートルと半分以下に激減。 高岡市に本社を置く東証2部上場の倉庫業、伏木海陸運送によると、
「富山のロシア材輸入はピークだった04年には年間100万立方メー トルあったが、08年は20万立方メートルまで減少した」(綿一弥富 山新港支店長)。
富山県は国内でロシア産丸太の輸入量が最も多い。富山県森林政 策課の佐藤宏課長補佐によると、1950年代以降、石川県能登半島など で丸太を加工していた富山の事業者がロシア産丸太の輸入を始めた経
緯があり、東名阪の需要地にほぼ等距離にあるメリットもあって事業 が発展した。
設備変更投資も重荷
減るロシア産に代わって、北米やニュージーランド産の丸太のシ ェアが増え、林業従事者の高齢化や先細りで供給が減少していた国内 産も見直しの機運が高まっている。住友林業木材建材事業本部の関本
暁部長は「ロシア材は当てにならないため、北米やニュージーランド 材が増えつつある」と話す。
しかし、富山では中小の製材関連企業が多く、丸太の輸入先を北 米など他の産地に転換するのは容易でない。加工設備の変更には数百 万円から数千万円必要で、「ロシア材と他の木材では販路、用途も異
なる」(林野庁木材産業課の田口護課長補佐)のが実情だ。
しかもロシア産丸太は天然木で樹齢数百年を重ねているため、植 林木である国内や北米産とは違って木目が細かく高品質、価格も安い ため、屋根を支える垂木などとして人気がある。
富山県木材協同組合連合会(富山県射水市)の高野了一専務理事 は「これといった解決策がない状態」と嘆き、約300社ある県内製材 事業者の1割程度が廃業すると予測する。すでに1月には富山市の伊
藤木材が廃業している。
財団法人日本木材総合情報センターによると、2月のロシア産カ ラマツの価格は1立方メートル当たり115ドルで、1年前に比べ9% 下落。不況による住宅着工の落ち込みの影響も厳しい。林野庁は、中
小製材事業者への対策として、ロシア材以外の丸太を加工するために 必要な金融支援など計5億円を09年度予算に盛り込んでいる。
総合商社も振り回される
ロシアの林業政策に振り回されているのは中小事業者だけはない。 総合商社の双日も目算が狂った。ロシア政府は、丸太の関税率を09 年1月には80%まで大幅に引き上げる予定で、それに伴う木材加工業
の振興を見越して、現地で合弁事業を計画していた。ところが事は思 惑通りに運ばなかった。
双日の安田悟木材素材部長によれば、輸出関税率は段階的に引き 上げられたものの、木材加工業育成に必要な肝心の「資金・インフラ 面での支援が政府からなかった」ことから、ロシアの林業事業者にも
廃業が相次いだ。この結果、輸出は日本だけでなく中国向けも07年 の2600万立方メートルから08年に1860万立方メートルへと3割減 少。ロシア政府は昨年末、80%への関税引き上げを1年延期せざるを 得なくなった。
双日は06年、現地の林産企業フローラ社(ハバロフスク州)と 共同で木材加工拠点の建設を計画。しかし、パートナー企業が買収さ れた上、金融危機による資金不足で計画は進んでいない。関税が80%
に引き上げられなければ、「ロシアでの加工事業に競争力はない」 (安田部長)ため、計画は事実上凍結される可能性が高いという。
記事に関する記者への問い合わせ先: 東京 竹本能文 Yoshifumi Takemoto ytakemoto@bloomberg.net
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