ID ： 10865
公開日 ： 2009年 3月15日
タイトル
住まいナビ：無垢材と漆喰を使った「自然素材の家」とは
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新聞名
毎日新聞
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元URL.
http://mainichi.jp/life/housing/news/20090316ddm013100030000c.html
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元urltop:
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写真:
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本物の木で心地よく－－森林組合から直接仕入れ／子供部屋で触れてもらう近づいていくと、数軒先から木の香りがした。大阪府高槻市の新築現場。完成した２階建て住宅は、すべての材木に無垢（むく）の杉材
を用い、漆喰（しっくい）で壁を塗った「自然素材の家」だ。曲がった太い梁（はり）が、家の象徴として強い印象を与える。
施工した「ブフィエ」（神戸市中央区、電話０７８・３０６・２８７７）の上野山泰規代表（４７）は、「過ごしやすい住まいには、三つの条件がある」と語る。（１）湿度が調整される（２）温度が安定している（３）触れても冷たくない
－－の３要素だ。「これらのすべてを満たす建材が木。見た目の温かさといった情緒的なことではなく、住宅建材として非常に高機能なんです」。住み心地のいい家には、木が不可欠だと強調する。
一般的なフローリング材やビニールクロスにはこれらの機能がないため、結露がおき、カビやダニを招きかねない。結果、防かび剤を多用し、空気清浄機や除湿機が手放せなくなる。上野山さんは「バケツの中に住ん
でいるようなもの。これでは住みよいはずがない」と指摘する。
ブフィエの主張は「本物の木と漆喰で、職人の手で家を建てよう」というもの。格子戸やドアといった建具から収納家具、流し台まで無垢材で手作りする徹底ぶりだ。設計は１軒ずつのオリジナル。これで坪単価約７０万円
、というからうなるしかない。
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上野山さんは元銀行マン。２９歳の時、和歌山県の実家の建設会社に入ったが、「あの森林だらけの和歌山で、建材屋さんに『杉の板がほしい』と言ったら断られた。『中国松かロシア松ならある』と。日本の林業は、流通
が崩壊していたんです」。そこで森林組合から直接仕入れるルートを開拓し、一軒一軒に合わせて自社で材木を加工。大工や左官など優れた職人との出会いもあり、９５年に神戸に進出した数年後からは「自然素材の家
」を全面展開してきた。
現在、主に扱うのは熊野の杉。供給側との付き合いも深まり、どこの山でいつ伐採したものかまで把握できるという、究極のトレーサビリティーシステムだ。流通崩壊で地元で売るしかなかった林業と、都会の住宅建築が
連携した希少なモデル。上野山さんは「うちだけでは林業を助ける程の力はないが、こうした動きが広がる突破口になれば」と思いを込める。
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ブフィエは今年から、「木にふれる運動」を開始した。１部屋５万円（６畳まで）という破格値で、子供部屋の床を無垢の杉板で仕上げる。きっかけは、昨年末に開いたイベント。端材の積み木で遊ぶコーナーで、「初めて
木に触った」という子供の声に驚いた。確かに最近の住宅はプリント材や合板が大半で、天然木と言っても厚く塗料が塗られている。上野山さんは「僕らの世代は本物の木を知った上で合板の家に住んでいるが、子どもた
ちは本物の木に触ったことすらない。いくら『木はいいんだよ』と言っても、通じない時代になってしまうという危機感を覚えた」と語る。
使うのは、新築の床材に用いている厚さ３センチ、幅２２センチ、長さ４メートルの杉板。樹齢６０年の杉から、６枚しか取れない貴重品だ。部屋のサイズに合わせてカットし、カーペットやフローリングなど既存の床の上
に敷き詰める。固定しないので、賃貸住宅でも対応可能だ。
ドアが当たる部分は、杉板を切りとるか、ドアの下端をカット。杉は軟らかく傷がつきやすいが、スチームアイロンでほとんど直るという。「はっきり言って原価より安い。損してまでやるのは、都市に木を入れ、林業を再
生させるのが僕らの役割だと考えているからです」。６畳より広い場合は１畳当たり１万円増。１軒につき１部屋限定だが、２部屋目からは１平方メートル１万２０００円の通常料金で対応する
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