ID　：　9447

公開日　：　2008年 11月21日

タイトル

定位、空間再現性は他に類例がない

新聞名

Phile-web

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http://www.phileweb.com/review/hihyou/454/3281.html

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定位、空間再現性は他に類例がないユニークな形態、独創のユニットに触れる前に「evanui」について述べなくてはなるまい。ViVラボラトリー（神奈川県・横浜市）の開発ポリシーを象徴しているからだ。
evanui（エヴァヌイ）はラテン語で「消える」を意味しているとのこと。再生音とは言え、私達が音楽を楽しむ時間を過ごす時、装置の存在を意識しない、つまり、意識から“消え"去るほどの自然さを持った機器の開発を 目指して起業したのが同社である。現在は本機のみの発売。姉妹機ととして、これもユニークな形態のパワーアンプを鋭意開発中である。
本機は、シナアピトン積層合板（18mm×63枚）で全部が曲面を持ったフォルムで、前方へ腹を迫り出したようなユニークな形態。内部は空洞でユニットの背圧を受ける。当然、背圧は底部から放射される。脚部は先端を 丸く仕上げた3点スパイク支持。最上部のヘッドはジュラルミンのブロックからの削り出しで約20kg。砲金製ショートホーンが加わって、ここに本漆でコーティングされた純マグネシウム8cmシングルコーン・ユニットがマウ ントされる。
同口径としては画期的に強力な2個のネオジウム磁石と、純鉄アッセンブルされた磁気回路を搭載。ボイスコイルも断面が正方形の細径線で単位断面積での巻線数を最大化。振動系はダンパーレス、エッジレス（特許出 願中）のユニットである。そして実に興味深いのは、このヘッドは360度の回転が可能なことだ。これによって重量70kgの本体を動かすことなく、指向性を任意にコントロールすることが出来る。実際に様々に角度を変え ると鮮やかに定位や音場空間が変化する。電気的処理では不可能といっていい、自然なコントロールが行える。これといった付加機能が少ないスピーカーシステムというジャンルにおいては、繰返すが実に興味深い技 法だと思う。
音は豊潤そのもので、小口径シングルコーンならではの特質と意外なほどのワイドバンドさが、奇妙なほど聴感覚の中で融合する。低域方向はくぐもりがなく、豊かな量感と伸びがある。キャビネットは本格的バックロー ディングホーンとは異なるが、とにかく素直な聴こえ方である。高域方向は30kHz（- 6dB）と十二分に伸張。ホールトーンの溶け込みと高音楽器の倍音成分が美しい。無論、声楽もナチュラル。定位、空間再現性は他に類例がない。出力音圧レベルは高くない。可能な限り質感と駆動能力に長けたアンプと の組み合わせが望まれる。独創の逸品である。

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