ID : 9085
公開日 : 2008年 10月15日
タイトル
松くい虫ついに青森上陸!? 県外産マツで発見 水際対策“死角”
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新聞名
MSN産経ニュース
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元URL.
http://sankei.jp.msn.com/region/tohoku/aomori/081016/aom0810160216000-n1.htm
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写真:
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全国で例年数十万立方メートルのマツを枯らしてきた通称「松くい虫」(正式名称「マツノザイセンチュウ」)が9月末、北海道と並び日本に残る不可侵地域とされてきた青森県で夏枯れした松から見つかった。松く
い虫の入ったマツが直接人の手で運び込まれたとみられる。これまで松くい虫の運び主の「マツノマダラカミキリ」の侵入阻止を主眼に対策を取ってきた青森県にとっては想定外の事態。松くい虫の本州制覇を食い止め
ることはできるのだろうか。
(荒船清太)
9月26日、松くい虫が検出されたのは青森県外ケ浜町の民家を海岸沿いの波しぶきから防ぐために植えた高さ約3メートルのマツ35本。県外から運び込まれたこのマツは、搬入直後と植える際の2回にわけて、松くい
虫の運び主「マツノマダラカミキリ」対策の消毒薬は散布されていたが、松くい虫自体への対策は施されていなかった。
松くい虫はマツの奥で繁殖してマツを枯らせるが、自力では動けないため、マツを食べながら渡り飛ぶマツノマダラカミキリの体内に入り込むことで別のマツに被害を広げる。県が平成18年から始めた本格的な松くい
虫対策も、マツノマダラカミキリを北限の秋田県境に留めることに重点がおかれてきた。今回はその死角を突かれた格好だ。
林野庁研究・保全課は「松くい虫が入っているかどうかは木を破砕して液体に浸すしかなく、植えるのが前提の木では難しい。枯れる兆候があれば見分けることもできるが、寒い東北地方では松くい虫が休眠してすぐに
は枯れない場合もある。肉眼で見えるマツノマダラカミキリと違い、事前に見分けるのは難しい」と釈明する。
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今回の事態を受け、県は今後の発注工事で県外のマツを原則使用しない方針を固めた。そもそもマツの産地でも知られる青森県で、どうして今回は県外のマツを使ったのだろうか。
県造園建設業協会の釜淵一知会長は「青森のマツは木材用で、植栽用のマツは基本的に県外でしか育てていない」と指摘。調達した県漁港漁場整備課は「今回の発注は高さ3メートルのマツを 200本。県内だけで集
めていたら3倍の納期、1年はかかっていた」と打ち明ける。
ただ、釜淵会長自身も顧客の庭先用のマツは県外から仕入れてきたが、松くい虫の被害は一度もないという。「松くい虫を抑える薬を樹幹に注入しているから。顧客用のマツは1本何十万円する。それが松くい虫で枯れ
てしまったら商売が成り立たないでしょ」。では、なぜ、今回のマツには松くい虫が…?
「樹幹注入などのコストをかけられなかったのだろう」と県林政課森林保全グループの松井保夫グループリーダーは説明する。今回のマツは運搬費込みで1本約2万円。専門家によると、樹幹注入は安くて3000円。釜
淵会長は「数万円かかる場合もある」とする。
ただ、釜淵会長は「ふつうは樹幹注入なしでも、植栽用のマツに松くい虫が入っていることはない」ともいう。「入っているのは野生のマツを山から抜いてきた場合。安く済ませたい場合に業者がよくやる手口だ。今回は
どうか知らないが、マツの買値が安かったのも背景のひとつでは」と推測する。
■ ■
そもそも日本に松くい虫が上陸したのも、今回のような被害木の“直輸入”によるものだったとされている。林野庁研究・保全課によると日本での被害の発端は明治38年ごろ。北米から長崎県に運ばれてきた軍事用丸
太に侵入していた松くい虫に、土着のマツノマダラカミキリが接触したといわれている。今回の被害は食い止められるのか。
森林総合研究所の大河内勇研究コーディネータは「青森には土着のマツノマダラカミキリがいないため、被害が広まる可能性はない。今回は青森県での松くい虫の初発見であり、初被害とまではいえない」と火消しに躍
起だ。
「唯一の懸念は、トラックで被害県から“ヒッチハイク”してきたマツノマダラカミキリが被害を広めること」というが、これも「マツノマダラカミキリが枯れたマツに産卵したのが成虫になって別のマツに飛び立たない限り
被害は広がらない。成虫になる春までに枯れマツを見つけて駆除すれば被害が広がることはない」という。
「早期発見、早期徹底駆除すれば大丈夫。欧州でも食い止めた例がある。今回は県が水際で食い止めたというのが正確な表現では?」。森林の生態に詳しい秋田県立大の蒔田明史教授はそう総括した。
◇
これまでの松くい虫対策
平成18年7月、青森県と秋田県の県境から南約250メートルに松くい虫による松枯れが発見されたことから青森県の本格的な対策が始まった。
県は松くい虫を運ぶ「マツノマダラカミキリ」の封じ込めに注力。行動半径2キロのマツノマダラカミキリが県境から侵入できないよう、同年8月から幅2キロ、長さそれぞれ1キロと2キロの防除帯を県境付近に2カ所設
置した。
19年9月に、トラックなどで人為的に運ばれたとみられるマツノマダラカミキリが野辺地町で見つかっていたが、松くい虫の存在は今年9月まで県内で確認されていなかった。
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