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ID : 8000
公開日 : 2008年 6月23日
タイトル
エタノール増産がなぜブラジルの自然を破壊するか
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新聞名
President
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元URL.
http://www.president.co.jp/pre/backnumber/2008/20080714/6730/co2/
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元urltop:
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写真:
 
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このような状況を踏まえて、今年1月にとりまとめられた「総合資源エネルギー調査会石油分科会次世代燃料・石油政策に関する小委員会報告書」は、ガソリン(揮発油)へのエタノールないしETBE(エチル・ターシ ャリー・ブチル・エーテル)の混和、あるいは軽油へのBDF(バイオディーゼル燃料)の混和という形で、バイオ燃料の導入に対して、「しっかりかつ慎重に」取り組んでゆくことを確認した。これにともない、安全・安心の確 保のため、エタノール等を揮発油等に混和する事業者を対象にして、登録制と品質確認義務制度を創設することになり、その線に沿って、今年5月に「揮発油等の品質の確保等に関する法律」(品確法)の改正が、通常国 会で成立した。
 ただし、ここで見落とすことができないのは、次世代燃料・石油政策に関する小委員会での論議を通じて、バイオ燃料の導入が、現状のままでは、輸送用燃料に関する二酸化炭素排出量削減の「切り札」とはなりえない ことも、明らかになった点である。上記の「小委員会報告書」は、「バイオ燃料は、燃料多様化や地球温暖化対策として将来性を期待できる手段の一つであるが、その持続的活用のためには、(1)二酸化炭素削減効果の向 上、(2)供給安定性確保、(3)経済性確保、等の克服すべき課題がある」、と述べている。
 つまり、バイオ燃料の本格的な普及にとっては、中長期的に見て、クリアしなければならない問題が少なくとも三つあることになる。
 第一は、CO2排出量削減の効果そのものにかかわる問題である。バイオ燃料のカーボンニュートラル特性については、LCA(ライフサイクルアセスメント)の観点から、疑問の声があがっている。LCAとは、ある製品が 製造、使用、廃棄、再使用されるすべての段階を通じて、環境にどのような影響を与えるかを評価する方法である。バイオ燃料のなかには、LCAの観点から見ると、二酸化炭素排出量削減効果が大きくないものも含まれ ているのである。
 別図は、バイオ燃料のCO2排出量の削減効果を原料別に見たものである。この図からわかるように、エタノール製造に用いる原料によって、CO2排出量の削減効果に大きな違いが生じる。穀物を原料とするエタノール は、穀物を育成する過程で熱やエネルギーを使用することから、CO2排出量の削減効果は相対的に小さい。一方、サトウキビを原料とするエタノールは、サトウキビの生産が粗放的であることなどから、高い削減効果を 持つ。また、木材等のセルロースを原料とするエタノールも、生産過程で生じる残渣をボイラー用燃料として使用できることなどにより、相対的に大きな削減効果を発揮する。サトウキビ由来やセルロース由来のバイオ 燃料製造は、穀物由来等のバイオ燃料製造に比べて、CO2排出量の削減に対する貢献度が高いと言うことができる。
 第二は、供給安定性にかかわる問題である。日本の場合、ガソリンへ混和するエタノールを大量に確保するためには、どうしても輸入に頼らざるをえないが、世界を見渡しても、エタノールの輸出余力を持つ国はブラ ジルしか見当たらない。
 06年における世界のエタノールの生産量は約5100万キロリットルであるが、その大半は、アメリカとブラジルで生産されている。このうちアメリカは、エタノールの輸入国であり、当面、おもな輸出国として想定できるの はブラジルのみなのである。
 エタノールのブラジル依存は、原油の中東依存と同様に、エネルギー安全保障上のアキレス腱になりかねない。また、輸送用燃料のエタノールへのシフトが一要因となって国際的に食糧価格の上昇が生じていることも、 食料自給率が40%にとどまる日本にとって、大きな脅威であることを忘れてはならない。
 エタノールの供給安定性に関連して、大きな問題となりつつあるのは、ブラジルにおける自然破壊、つまり熱帯雨林の伐採である。ブラジル産エタノールの主原料であるサトウキビは、生育に適した気候が異なるため、 直接的には、増産のための熱帯雨林の伐採をもたらすものではない。しかし、アメリカにおけるトウモロコシ由来エタノールの増産→トウモロコシ価格の上昇→アメリカにおける大豆からトウモロコシへの作付け転換→大豆 価格の上昇→ブラジルにおける大豆の増産→大豆増産のためのブラジルにおける熱帯雨林の伐採、という間接的な経路をたどって、エタノールの増産はブラジルの自然破壊をもたらしているという。これが、真実であ るとすれば、CO2排出量削減効果の面からも、供給安定性の面からも、ゆゆしき問題だと言わざるをえない。
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