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ID : 6429
公開日 : 2008年 2月22日
タイトル
旅立つ人と、“棟梁”の車
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新聞名
日経ビジネス
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元URL.
http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20080220/147630/
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元urltop:
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写真:
 
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彼は、職場で“棟梁”と呼ばれている。 だが、大工というわけではない。
 経歴を訊けば、なるほど二十代の半ばまでは本職の大工をしていた。しかし、いま中川親治(なかがわ・ちかはる)がつくっているのは霊柩車だ。それも“宮型”と呼ばれる、車体の後部を輿仕立てにした伝統的な型ば かりの。
 木材のみを用いて輿をつくる技術は宮大工と何ら変わるところがない。だから、周囲は親しみを込めて、中川を棟梁と呼ぶのである。
(写真:矢内 耕平、以下同)  「叔父さんが大工をしててな、学生のころは小遣い稼ぎによぅ手伝いに行っとった。やるのは雑用ばかりやけどな。けど、大工仕事は嫌いやないし、現場の雰囲気も好きやった。ノコを引いたり、ノミで削ったりな、細かい 作業も性にあっとると思うて弟子入りさせてもろうたんがはじまりやな」  中川は昭和十九年夏、終戦のちょうど一年前の生まれだ。今年で64歳になる。
 大工の仕事をしていたのは25歳のころまで。実兄が関西に拠点を置く葬儀社に勤務しており、その兄に勧められてグループ企業の関西自動車株式会社で働くようになった。所属は木工部である。
 霊柩車は昭和初期には普及していたが、戦時下の葬儀の自粛と戦後の復興期をはさみ、中川が転職した昭和四十年代は宮型霊柩車の需要が爆発的に伸びていた時期でもあった。後部に搭載する輿の造り手が求めら れたのである。
 参考までに、霊柩車は大隈重信の国民葬でトラックの荷台に輿を載せたのがはじまりと言われている。1922(大正十一)年のことだ。この国民葬に端を発し、それまでは“おうご(天秤棒)”の要領で肩に担いでいた棺を 車で運ぶ霊柩車が誕生した。それがこんにちまで続く野辺送りの新しいかたちだ。
 「いまでこそ三代目と呼ばれているが、わしが関西自動車に移ったときには先々代の棟梁がおって、兄弟子にあたる先代の棟梁がいた。大工仕事は一人前でも、輿のつくり方なんぞ何も知らん。職人の世界やからな、手 とり足とり教えてもらえるわけやない。家を建てるんと勝手が違うて、最初は戸惑ったわ。ましてや、仏さんを乗せるもんやし」  中川がつくる霊柩車には、樹齢300年から400年を経た長野産の木曾檜が使われている。
 直径はおよそ二尺五寸。約80センチほどの、大人でも抱えられないほどに育った檜だ。その檜も、仕入れてから丸々二年間は寝かせ、水分量を調整してから初めて部材として使用されるのである。黒塗りではなく、輿 は檜の材質をそのまま見せた白木造りになっているのが特徴だ。霊柩車一台に使う檜だけで、仕入値は800万をくだらないという。
 外観は、大きく三十七のパーツからなる。
 家で言えば基礎部分にあたる“台輪”と呼ばれる土台があって、柱、窓柱といった支柱を立ててゆく。そこに外壁となる“掌板”をはめこみ、梁となる桁、妻桁で支え、後ろから見たときに緩やかな曲線で描かれた“破風” という装飾板をはめる。ここまでが輿の大枠になる。
 そのあとで“棟のあおり”という棟の底板を張り、屋根板を張り、棺桶の出し入れをする扉まわりをつくり、軒から出るように垂木(たるき)をわたし、棟の両側には鬼や県魚と呼ばれる装飾品や疑宝珠、高欄を取りつける 。喪主の家紋を入れる“金輪”も用意する。最後に内装を施して完成だ。
 台輪をボルトやナットで固定し、装飾品を内側からビスで止めることはあっても、釘は一本も使わない。名刹や文化財に指定された寺社のように、基本的に臍と臍穴で組み立てていくのだ。
 そして、材部の一つひとつを中川はすべて手作りでつくっている。しかも、材木の裁断から棟上げ、内装まで、製造工程のいっさいをひとりでこなしているのである。
 「んなもん当たり前や。垂木なんぞ左右で144本あるけど、一本一本わしが木ぃ切って、削って、カンナかけとる。臍もつくるし、臍穴も自分で彫る。全部そうや。大工はいま分業制になっとるらしいが、霊柩車はそうはい かん。ひとりでつくってなんぼやからな。そやから、仕事を覚えるまで、そら時間がかかる。わしかて一台を任されるのに十年かかった……、いや、もっとやな。部品を並べて、それがどこに使われるか一目でわかるよう になるまでに十年やな」  時間がかかるのには理由がある。
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