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ID : 5986
公開日 : 2008年 1月13日
タイトル
「気仙大工」ピンチ 建築基準法厳格化の余波
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新聞名
読売新聞
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元URL.
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/iwate/news/20080114-OYT8T00071.htm
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元urltop:
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写真:
 
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 厳格化された改正建築基準法などの影響で、気仙地方で伝統的な大工の技術を受け継ぐ「気仙大工」が逆風にさらされている。金属部品を使わず木組みだけで作る伝統的な建築物は、構造計算が複雑で費 用もかかるため、ほとんど注文がない状況が続く。関係者は「伝統技術の継承が困難になる」と危機感を募らせている。
 気仙大工の伝統工法は、柱などの接合部分にも金属を使わず、木が持つしなやかさや復元力を生かすのが特長。大きな地震でも揺れに応じて建物がしなり、倒壊を防ぐ仕組みだ。2000年に建築基準法が改正される までは一定の規模以下でなければ建築できなかったが、現在は金属部品を使う「在来工法」と同等の強度が証明されれば、多様な建築が可能となった。
 しかし、在来工法の住宅なら着工前の確認審査は2万円以下で済むのに、伝統工法だと構造計算などで約50万円もかかる。さらに、昨年6月、耐震強度偽装問題を受けて同法が再改正され、複雑な構造計算を要する 建築物は、自治体による審査に加えて第三者機関の審査も義務化された。
 これに伴い、気仙大工の伝統建築は「計算や審査の費用を合わせると100万円を超す場合も出てきそうだ」(県建築住宅課)という。施主らの費用負担は同法再改正前の2倍に膨らむことになり、審査期間も約1週間から 約2か月間へと大幅に延びた。
 同法改正後、県内の新設住宅着工戸数(昨年11月現在)は対前年度比で約2割落ち込んだ。伝統工法による住宅の受注も、ここ数か月はほとんどないという。気仙大工らは「よほどこだわりのある人、お金のある人で なければ注文しないだろう」と危機感を募らせる。
 注文の減少は、伝統技術の衰退につながりかねない。陸前高田市の建築士は「気仙大工は年配が多い。この状況が続けば、近いうちに技術は途絶える」と懸念する。気仙大工建築研究事業協同組合の熊谷進理事長も、 「国はもっと地域の実情を考えた弾力的な運用をしてもらいたい」と語気を強める。
 これに対し、国交省は伝統工法に関する強度実験を検討している。データを蓄積し、構造計算を簡略化するのが狙いだ。数年以内の実用化を目指しており、将来的には都道府県による実験データも組み込むことを検 討している。ただ、伝統工法で用いる木材や技術は広範囲に及び、網羅するのは困難な面もある。
 同省木造住宅振興室は「データベースが有効活用されるよう、しっかり整理したい」と話すが、気仙大工にとって厳しい状況はしばらく続きそうだ。
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