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ID : 5398
公開日 : 2007年 11月18日
タイトル
日本の環境教育は、欧・米を超え得る――環境教育論
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新聞名
日本経済新聞
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元URL.
http://eco.nikkei.co.jp/column/article.aspx?id=20071115c1000c1
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元urltop:
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写真:
 
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環境先進国、ドイツの話をしよう。なかでも「環境首都」と呼ばれているフライブルグの話だ。フライブルグは、ドイツの最もスイス寄りの州・バーデンブッテンブルグ州にあり、「黒い森」として有名な「シュバル ツバルト」の麓のあまり大きくない城下街だ。
  ■徹底した「環境首都」  城下街なので、城壁に囲まれている。その城壁の中には、基本的には自家用車、とりわけ観光客の車は入れない。公共交通である電車は走っていて、そこを訪れる多くの観光客は城外の駐車場に車を停め、電車に乗り 換えて市街地に入る。
 市街地は古い石畳の道が続く。市の中心部には大きな公園があり、枝垂れブナの巨木が立っている。公園近くのフライブルグ大学も、緑に囲まれている。
ドイツの環境都市・フライブルクの中心にある枝垂れブナ  市の中央にはこの街のシンボルとも言えるミュンスター大聖堂とマルティン塔が建っていて、その横の広場で市場が開かれており、新鮮な野菜や果物を売っている。また、古い石畳は中世のままの所もあるが、ほとんど は最近になって昔の「石工の技術」を継承し直し、石工の養成なども行い、全面改良したという。街の中を流れる水路の水もきれいで、公園の横の川は、一度は三面張りに近い工法だったのを、住民の意見を採り入れ「自 然工法」に造り直したそうだ。
 そのような古い伝統を持ちつつ、フライブルグは太陽光発電も相当に取り入れている。有名なのはドーム型のサッカー場で、昼の間に太陽光発電で蓄えた電力を夜間のナイターなどに使用している。
 なにしろ、この環境首都運動はフライブルグ郊外への原子力発電所建造を反対することから始まっているので、自然エネルギーの利用に関しては、相当力を入れて実践している。私が訪ねたとき、ソーラーファブリッ ク(http://solar- fabrik.com)という太陽電池メーカーの社長は、「太陽電池の効率は日本の方が上なんです。でも、我社はなによりも、より沢山使ってもらうことを大切にしています。そうすることによってコストが削減されますし、地球環 境問題がより人々の身近な問題になるのです」と話していた。
 もう一つ、フライブルグで気がついたのは、街の中に、缶やペットボトルがまったくといって良いほど落ちていない。それは、製造者に回収責任があり、回収に際し、缶やボトルの代金が戻される仕組みになっているから だ。だから子ども達は、缶やボトルが落ちていると、小銭稼ぎのためにすぐにお店に持って行くのだ。
フライブルグの地図(拙著『森の惑星』では、フライブルクの取り組みを詳しく著している。赴く機会のある方はぜひご一読いただきたい)  酸性雨で深刻な被害を受けたシュバルツバルトの森は、その再生に向けて多額の寄附が集められた。「黒い森」が今では生態系が豊かになって、針葉樹の黒と広葉樹の黄緑が混同した「斑の森」になり、十分に再生して いるという。森林再生が実現した背景には、「酸性雨でシュバルツバルトの森を壊してしまった。過去の人々の遺産を壊したのは申し訳ない」という「懺悔」の気持ちと、「免罪」のための寄附を含めた、何らかの奉仕という 具体的行動があったのであろう。
  ■「腑に落ちる」環境教育の可能性  このフライブルグは、確かに環境問題における一つの成功例だろう。それに比べて、日本ではこれほど上手く行っている例はないと言えるかもしれない。しかし、誤解してもらっては困るが、私はドイツの環境問題の対 処や環境教育が最も上手くいっていると思っているのではない。
 前回のコラムで解説したように、行動に際して理論を重んじるドイツをはじめ欧米では、社会的行動が知(理性)→意志→行動という回路でつながっている人が多い。それに対し、日本では「知・情・意」の三位一体の納 得がいかないと行動につながらない人が多い。しかし私は、人間が知性や理性だけで納得するのではなく、知・情・意の全てで納得し、「腑に落ちる」という現象の中で行動に移る方が、より本格的な行動になり、より深く 、より幅広く浸透すると思っている。また、「腑に落ちる」環境教育の方法が確立すれば、アジアはもちろん、アフリカや南米などこれから発展する地域にも応用できるはずだ。
酸性雨で死にかけたシュバルツバルトは黒のトウヒに黄緑広葉樹を加えて再生  この「腑に落ちる」環境教育のノウハウを見つけるためには、知性や理性をひたすら重視した結果として化石資源文明、環境破壊につながった「近代合理主義」というものの限界をよく見据える必要がある。一方、日本 がかつて「情念」をもっぱらの原動力として全体主義国家に行き着いたように、情に訴えるだけの行動原理でも不十分だ。「知・情・意」の欧・米と日本の精神構造を明確に分析した上で、次なる方針を出すべきだろう。(+/ div+
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