ID : 5151
公開日 : 2007年 10月27日
タイトル
イチヂクを通して見る豊かな自然
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新聞名
インターナショナル
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元URL.
http://www.ohmynews.co.jp/news/20071028/16629
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元urltop:
なし
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写真:
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自然のイチジクは、アジアだけでも700種あると言われています。大概は、人が食べて美味しいといえるものではありません。しかし、動物にとってはかなりのご馳走です。
日本にも「山イチジク」と呼ばれるものが数種あります。甘味に飢えていた時代には人も食べていたようですが、現代においては用済みです。
山イチジクの木。このように実がついています。(撮影:大村賢三)
実を実際に食べてみると、多少の甘み、多少の酸味はあるものの、水気は無く、ぱさぱさとしています。
実を割ればこの通り。(撮影:大村賢三) 近年、各地の山で、大きく育った山イチジクの木を見かけるようになりました。「大きい」といっても潅木(かんぼく)の部類ですので、人の背丈の倍にはまずなりません。
「日本の自然が、どんどん豊かさを増している」と言えば、きっと驚く方もいるでしょう。その感じ方は、都市部に住む人と過疎地に住む人では大きな差があるのです。
人の手が加わらなくなると、自然はすぐに勢いを吹き返します。田畑はすぐに葦の原となり、獣も斜面の生活よりは平らな方が住みやすいもので、繁殖も旺盛になります。実際には人の手の届かなくなった山林や農地は
相当な範囲で広がっているのです。
野生のイチジクは、サルやイノシシなどの哺乳類から野鳥までが好んで食べます。中には小さなタネがぎっしりと詰まっているために、それらの動物が各地へ運び、荒地などには真っ先に生えてくる植物の一つです。以
前はこの若木はよく見かけましたが、20年経った老木はあまり見かけませんでした。現在ではそれが逆転しています。つまり、かなりの地域で、自然に対して人の手が加わらなくなった事を意味しています。
サルが増え、鹿が増え、イノシシが増え、人間の生活圏を脅かしていますが、これらの動物を影で支えている植物の一つが山イチジクであり、自然の豊かさがもどっている事を意味します。
大木の部類に属する山イチジクの木(撮影:大村賢三) この日本の自然ですが、木材において、建材やパルプの材料の大半を外国に頼っています。国産のものは高すぎて使えません。また、炭焼きなどに用いる雑木も
使用量が激減しています。こういった事情の上に豊かになっている日本の自然ですが、未来永劫続くものではありません。
国力が低下し、円の価値が下がる事があれば、また一気に日本の木材が見直され、禿山が増える時も来るでしょう。
長い歴史の過程で見れば、現在の地方における自然は、人類史上例の少ない、つかの間の回復した自然なのかも知れません。信じられない方は地方の山間部へ出向いてみて下さい。
この夏、故郷の山で大きくなった山イチジクの木を見つけ、私は周りの山を見渡し、感動を覚えました。人の営みが無くなると、自然はこんなにも早く回復するのだ、と……。
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