ID : 4653
公開日 : 2007年 9月 6日
タイトル
松屋産業の怪
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新聞名
データ・マックス
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元URL.
http://www.data-max.co.jp/2007/09/_4_61.html
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元urltop:
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写真:
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木材市場の収奪戦の到来
全国に木材市場、木材・建材市場のルートが確立されている。最初は同業者への販売へ供給される目的で設立されたが、その後、直需を目的にした市場が主力になってきた。福岡では日進木材市場(現在の日進・本社
福岡市博多区)がその先発隊であった。遅まきながらこの12年間で市場に進出して業容を拡大してきたのが、黒田木材商事(本社・糟屋郡須恵町)である。そして松屋産業もこの世界のパイオニアとして君臨してきた。
独自の供給ルートである木材市場に着眼したのは現在のナイスである。ナイスは昭和50年代初頭には「日栄資材センター」という商号を駆使していた。商号通りに横浜市を皮切りに全国の拠点に木材市場を網羅して
行った。福岡にも志免町に福岡木材市場を開設したときには地元の業界がパニックになっていたのを覚えている。だからこそ現在のナイスが市場ルートに強いのには頷ける。当然、松屋産業にも取引がある。
さて木材・木質建材の物流世界では全国・九州において記述してきたとおり勢力の識別が明確化してきた。そしてこの松屋産業が活躍してきた木材・建材市場ルートの収奪合戦時代の到来になったのだ。
◆ オーナーの独立・独歩の精神なら拍手喝さいをしたいが
今回の松屋産業の信用不安が流れた背景には兄弟身内の争いがある。兄弟が独立したりしたお家騒動の色彩も色濃くあった。このドサクサ紛れに主力取引先であったジャパン建材がすぐさまに松屋産業を買収する発
表を行ってもおかしくない形勢であったのだ。ところが周囲の予測に反して買収傘下の事態には発展しなかった。ジャパン建材側の口も重くなり取引状況も鈍くなったのである。
普通ならばこの停滞の間隙を縫ってジャパン建材のライバルであるナイスが取引量も多いので「松屋産業をM&Aをした」と公表されることを関係者は確信していた。だが表立った動きはない。流れてくる情報は圧倒的
に「松屋の社長(世取秀文氏)は変わり者」という声だ。
この声をまともに聞けば「大手資本のジャパン建材の乗っ取りに対して体を張って抵抗した中小オーナー経営者の鏡」と拍手喝さいをしたいところだが、本質はどうも違う。やはり変わり者・世取氏であったので会社売り
買いビジネスに発展しなかったのだ。
この話し合いの過程で大組織のサラリーマンを翻弄したとなれば「さすがオーナー社長」とエールを送りたい。世取社長が「命を賭けて中小企業の経営をしてきたのに誰が他人の手に渡してたまるか」という気骨を示し
たのであれば痛快な話である。ただ問題なのは気概だけが独立・独歩で経営が不安定なことだ。腹いせに交渉相手のサラリーマンに煙を巻いても時間稼ぎにしか過ぎない。
要は独立精神に溢れた中身ある経営を誇示すれば「世取社長は素晴らしい」という声が自然と高まるはずだ。現実は周囲では厳しい冷めた目で松屋産業の動向を注目している。
真相はどうなのか?筆者は「変わり者」を強調しても松屋産業が自立路線を貫くことは非常に困難とみる。できるだけ自力で会社健全化を達成していただきたいのだが──。
世取社長の奮闘を望む。健全経営に成功して松屋産業の『怪でなく痛快の快』になって貰いたいものだ。
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