完成したのは、同市内の建て主から請け負った木造2階建ての住宅で、気仙大工が施工した。延べ床面積は約230平方メートル。玄関にFSCのマークが掲げられている。同社は昨年、FSCマークの付いた町営住宅 1棟を建設しているが、一般の住宅は初めて。
柱には気仙杉、床や腰板にはヒノキやアカマツのむく材がふんだんに使われ、木のぬくもりにあふれている。価格は通常の住宅と同程度という。
「FSC」は本部ドイツの非政府組織(NGO)森林管理協議会の略で、環境や生態系に配慮して適切に管理された森林と、加工流通施設を国際基準で認証する。
森林管理(FM)認証と加工流通管理(COC)認証からなり、FM認証を受けた森林で育った木材をCOC認証を受けた事業所で加工した製品だけに、FSCマークを付けることが許される。
同町では2004年、町有林と私有林合わせて約9400ヘクタールでFM認証を取得。同社など5事業所がCOC認証を取得した。
一方、認証コストの問題で柱などの構造材を作る製材所の認証取得が進んでいなかったが、同社が昨年、町内の製材所と委託契約を結ぶことで、製材部門のCOC認証を取得。「FSCの家」の建設が可能となった。
見学した同市気仙町の残間軍一さん(70)は「地元の大工が地元の木材を使い、環境を大切にして建てたことに感心した」と話していた。
佐々木社長は「FSCを武器にスーパービルダーなどに対抗し、気仙大工の伝統と地域の豊かな森林を守っていきたい」と決意を語る