ID : 4166
公開日 : 2007年 6月22日
タイトル
リゾートに開いた小さなお店
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新聞名
読売新聞
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元URL.
http://www.yomiuri.co.jp/tabi/domestic/inaka/20070622tb03.htm?from=os1
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元urltop:
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写真:
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自然に抱かれて暮らすのなら、散策や畑作業だけではなく、お店をやりたいと思う人も多いはず。今回の舞台は、「日本百名山」に選ばれた八ヶ岳の南麓に位置する小淵沢である。
人里離れた地ではない。別荘やペンションが点在する地として開発が進められてきた。ショッピングアーケード併設のリゾートホテルやアウトレットモールが、多くの観光客を引き付けている。その意味から開業の立地
条件は優れている。とはいえ、4回にわたって紹介する2組の夫婦は「生活費を稼ぐ目的」というより、これからの人生を楽しむための手段としてお店を持ったという感が強かった。
心身ともにくつろげる特別な空間
常連の北原妙子さん(右奥)と水掛良江さん(右手前)は小淵沢への移住者。情報交換の花が咲く 小淵沢駅前の案内所で、「遊景社(ゆうけいしゃ)というお店はどこにありますか?」と尋ねた。オーナーの後藤俊子さんと
電話で事前打ち合わせをした時に、「遊景社を探してください」と言われたのだが、カーナビで検索できず、レストランだったらあるだろうと思われた看板も見当たらず、案内所に駆け込む結果となった。
説明を受けて駅から5分程走ったところに、小さな立て札をやっと見つけ、私道に20メートル程乗り入れて駐車場に車を止めた。
ホームページでうたっているのは、森の中の山小屋風「カフェ&ギャラリー」。リゾートという立地を思えば、ロマンチックなレストランをイメージしてしまうが、どうも雰囲気が違う。細い坂道を下ってたどり着いた山小屋
風カフェの横には、たくさんの木材が散乱していた。雑然と置かれたそれは、俊子さん愛用の竈(かまど)用の薪(まき)だった。
室内も「整然としている」とは言い難い。雑誌や写真、俊子さんいわく「廃屋から持ってきたお宝」などが、あらゆるところに置かれている。陶芸家の作品が並べられ、周囲の景色を撮り続けている写真家のポストカード
が置かれているから「ギャラリー」にうそはない。壁にメニューが張ってあるから、「カフェ」であるのも間違いはない。しかし、都会でイメージする「カフェ&ギャラリー」の姿とは程遠い。
ここは俊子さんの「家」の一部なのである。だからこそ、近所の人たちが気軽にやってきて食事をし、コーヒーを飲み、俊子さんと世間話に花を咲かせる。気取らない、ゆったりした時間が流れる特別な空間だった。
セカンドハウスでなく最初で最後の家
「最初で最後の家」は前が開けており、見晴らしが良い 俊子さんが夫の仁さんと小淵沢に土地を購入したのは28年も前。そのころ、仁さんは大手広告代理店から転職し、神奈川県庁に勤めていた。生活するためなら職
員アパートで十分であり、都会に家を購入する考えはなかったと俊子さんが話す。
「終戦を迎えたのは5歳の時で、疎開も経験しています。私たち夫婦は都会の生まれだから、田舎がありませんでした。疎開を知っているだけに、土地を買うのなら田舎がいいと考えていました」
二人の思いを知る友人が、小淵沢の土地を紹介してくれた。豊かな森があり、敷地内に川が流れている。ひとめ見ただけで気に入った。決意すれば行動が早いのが後藤さん夫婦。タイミングも味方した。農業視察でア
メリカに行く予定だった地主は、現金を欲していたのである。「現金で買うなら安くする」という言葉に乗り、1坪3000円で800坪(約2640平方メートル)を買った。
都会に家を買うつもりのなかった後藤さん夫婦が、初めて手に入れた土地だった。22坪4LDKの家が森の中に建つのは2年後のことである。
「傾斜地や山奥の別荘地は、重機が入らないのがネックです。そのぶん、基礎工事費用が高くなりました。いくらかかったか正確に覚えていませんが、土地が安かった割に建造費は高かった覚えがあります」
俊子さんの言う、「セカンドハウスではありません。ファースト&ラストハウスなのです」の言葉通り、森の中に静かにたたずむ28年前に建てた家は、今でも母屋として利用している。
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