ID : 4108
公開日 : 2007年 6月16日
タイトル
社説:森林環境税 欠かせない慎重な議論
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新聞名
秋田魁新報
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元URL.
http://www.sakigake.jp/p/editorial/news.jsp?kc=20070616az
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元urltop:
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写真:
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6月定例県議会に森林環境税「水と緑の森づくり税」の条例案と、その税収を管理する基金条例案が提出された。県は増税を伴う「子育て支援と教育充実を推進する将来ビジョン」の9月成案化は見送り、時間を
かけて審議する方針に転じたが、森林環境税関連議案は今議会の焦点の一つだ。自然環境とどう接していくかという課題にかかわる議案であり、慎重かつ深みのある議論を求めたい。
森林環境税条例案で県は条例の趣旨について次のように説明している。「県土の保全、水源のかん養等の公益的機能を有し、すべての県民がその恩恵を受けている森林を健全に育て、次代に引き継いでいくことを目
的として、県民の理解及び協力の下、森林環境の保全に関する施策に要する費用に充てる」
課税は県民税の均等割税率を引き上げる形で行われ、年間で個人は1000円、法人は10%の負担増(2000円?8万円)となる。納入された税金を管理するため「水と緑の森づくり基金」を設け、その運営委員会が使途
などについては検討する。
見込まれる税収は約6億円。税を充てて事業を実施する対象は県内の森林の約54%に当たる民有林(私有林、公有林)44万6000ヘクタールで、広葉樹と杉の混交林化、ナラ枯れ予防、森林整備ボランティア団体を
はじめ民間による森林保全活動などが予定されている。
県は税を充当する事業を、民有林の中で約37万3000ヘクタールを占める私有林を優先させて実施する方針だ。森林は木材の生産を繰り返す資源循環林と、自然環境としての役割を重視する環境林に大別される。
増税の是非を含め、森林の在り方を協議してきた「秋田の森林(もり)づくり検討委員会」は、県民が必要最小限の負担を分け合いながら森林づくりを支えるためとして、森林環境税を肯定的にとらえた。ただし、資源循環
林と環境林の役割に応じた管理、費用負担を整理することを重視している。
公益的機能を持つとはいえ、私有林の保全に県民の税金を投入することへの異論は出ることだろう。しかし、長い不況で私有林ほど木材の再生産が滞り、森林整備はおろそかにされてきた。木材市況に好転の兆しが表
れてきたいま、森林を健全な状態に保つことは環境維持と良質材を生産する両面から考えて大切であり、県民の税金を充てることは理解できる。
ただし前提となるのは、森林は所有者の別にかかわらず地域の財産であるという県民の共通認識の形成ではないか。県議会での審議は条例新設の是非にとどまらず、条文案にある通り森林を健全に育て次代に引き継
ぐにはどうすればいいのか、という点に踏み込んでもらいたい。もちろん増税にかかわる問題であり、森林保全の重要性を論じるだけでは済まない。
荒廃が進み、野生動物と住民との緩衝帯が消えたと指摘される里山の整備も欠かせない。公共的な事業の実施を増税に頼る方法が最も安易なことは否めない。その点を踏まえ、事業内容を詳しく検討して使途の明示
を怠らなければ、森林環境税は森林の保全、県民意識の醸成の面から有効に活用できよう。
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