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ID : 2940
公開日 : 2007年 3月 6日
タイトル
木材自給率向上、日本の林業再生につながるか
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新聞名
新建ハウジング
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元URL.
http://blog1.s-housing.jp/article/35259886.html
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写真:
 
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国内の木材消費量に占める国産材の割合である木材自給率が上向いている。
背景には、木材の需給を巡る国際的な構造の変化があるだけに、自給率の上昇は今後も続きそうだ。国産材の需要増を日本の林業再生につなげるべきだ。
最大手一般紙の社説がこのテーマを取り上げたことを「意義あり」と捉えるべきなのだろう。ただ、大新聞とはいえ社説の影響力は低下しているように感じるが(もちろん新建ハウジングでもこのテーマは取り上げている) 。
木材自給率は戦後の一時期、90%を上回っていたが、半世紀の間、低落傾向が続き、近年は10%台に低迷していた。
それが、2005年には前年より1・6ポイント上昇して20・0%になった。7年ぶりの大台回復だ。輸入が前年より6・2%減少し、逆に国産材生産は3・8%増えたためだ。06年も、自給率20%台を維持する見通しだという 。
20%が大台と言えるのか、そもそも自給率に意味があるかといえば、どうなのか。自給率は外材の輸入量で変わる。ぱっと見はわかりやすいが、山を維持するために必要な国産材の供給量などの方が大事なように思う 。
この社説も指摘しているように、結局は需要と供給のバランスで価格は決まり、価格動向に国産材の動向も左右されてしまう。
自給率向上の背景には、急速に経済成長を遂げる中国などの木材輸入量の急増に伴う国際価格の上昇がある。中国の場合、05年の丸太輸入量は3044万立方メートルと、5年間で倍増した。
日本はこれまで、インドネシア産ラワンなど安価な南洋材を大量に輸入してきた。だが、資源の枯渇から東南アジアなどで、伐採規制が強化されている。
こうした需給の変化で、木材の内外価格差は縮小、逆転している。
例えば、合板用の国産スギと輸入北洋カラマツは、04年ごろを境に価格が逆転した。昨年末は、1立方メートル当たり、国産スギ1万3000円に対し、輸入カラマツは1万7500円だった。
日本の森林の3分の2は民有林だが、相続などで自分が森林の所有者になっていることさえ知らない例がある。地元に所有者が不在の森林は民有林の20%以上あり、山の荒廃の一因になっている。
荒廃を食い止めるには、林業従事者を増やさねばならない。現在は半世紀前の7分の1、約6万人に過ぎない。中高齢者に森林で働いてもらう「緑の雇用」が全国で実施されているが、林業を担う人材の確保、育成は急務 だ。
国産材の問題は、ここにある従事者の問題を含め課題が山のようにあり、それらを一気に解決できる特効薬はない。需要を着実に増やす努力をしながら、同時にそれに応える供給体制を量・質ともに整備していくしかな い。
住宅会社はその中で、消費者を巻き込みながら需要を着実に増やすことと、どんな材が欲しいかを木材生産者側に伝え一緒に供給体制を整備していくことで貢献できるだろう。
これは「ただの購入者」から一歩踏み込むということで、面倒だしすぐに成果がでるものでもない。だが、ロングスパンで見ると、サプライチェーンの上流に関与すればするほどものづくりの独自性は高まり、通常はコス トメリットも出る(リスクもあるが)。そも意味でも、いまは住宅会社にとっていい機会と言えるのではないか。
マクロ的に言えば、繰り返しになるが、今後の世界的な木材需給と価格動向が大きく影響する。供給過剰になって世界的に木材価格が低迷すれば、コストメリットだけを求める企業はまた外材へのシフトを進めるだろう。
環境問題や山の問題なども含めて、価格ではなく価値を重視する住宅会社を含めた需要家がいまの間にどれだけ増えるかが、日本の山の今後を左右するような気はする。
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