ID : 2930
公開日 : 2007年 3月 3日
タイトル
森林に目を向けよう
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新聞名
八重山毎日オンライン
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元URL.
http://www.y-mainichi.co.jp/?action_article_show=true&article_id=7374
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元urltop:
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写真:
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人材育成などに大きな効果
お
勧
め かつて市立の学校や各字には「山」があった。市から貸与された山林で、共同作業で竹を切り出し、バーキ(竹カゴ)を作ったり、物干し、建築資材などあらゆる生活関連資材を山から調達した。
また児童生徒は勤労体験学習の一環として年1回、学校林での造林作業が学校行事に組み込まれていた。山は住民生活に密着した存在だった。
ところが、生活様式が変わって竹を切ることも、造林作業を行うこともなくなった。住宅は鉄筋コンクリートが主流になり、伝統の木造住宅は島産材の調達が困難を極め、補修もままならずに年々姿を消している。
いまや山は木工品工芸の一部と市に届け出ての観賞木購入に利用されているだけで、市民生活から遠のいているのである。同時に子どもたちの草木に関する知識も乏しくなり、最近では代表的なイヌマキやクロキ、
センダンなどの名前すら知らぬ子どもも珍しくない。
■大原小学校の特色ある教育
その中で豊かな自然と向かい合い、長年にわたって植物観察学習を続けている学校がある。大原小学校だ。父母らの協力で裏山の木々にプレートを付け、その中での遊びを通して樹木や草花の名前を覚えさせる。ま
た独自に考案した「植物かるた」を使い、興味を持たせる。
さらに毎週水曜日には植物観察の時間を設け、そして年2回、植物の100種類名前あて検定試験を行う。その得点ごとに賞を与え、次の目標を持たせる。
加えて森は樹木や花々だけでなく、昆虫や爬虫(はちゅう)類、鳥類のすみかであり、植物観察学習と連動して森の生き物にも関心が芽生え、感性豊かな子どもに育てる。
すごい勢いで知識を吸収する幼・児童期の特性をおさえた見事な教育手法である。3年に1度教職員が入れ替わる中で長年にわたって持続していることも、見逃せない。
この自然の役割を学んだ子どもたちが中学、高校と連動して知識を深め、専門職に進めば、道路植栽に公園、港、街づくりとあらゆる面で既存の形態を大きく変えるだろう。
自然の中で育ちながら得た知識は、見かけだけでなく人に優しい環境をつくりあげる可能性が極めて大きいのである。
■森林は貴重な財産
離島県の離島群の八重山には、先人から受け継いだ3つの大きな財産がある。海と山の雄大な自然と人である。美しい海と住民の人情が評価され、多くの観光客が訪れるようになった。
ところが森林に関して、いまひとつ目が向かない。石垣市や西表、与那国の大部分は森林である。八重山と対等する森林を持つ自治体は県北部だけであり、市内ではバンナ森林公園や市民の森、底原・名蔵ダム周辺
広場など公共的に整備された森も多い。
だが、海辺のにぎわいに比べて利用者は少なく、現状は資源が生かされていないといえよう。
市立校の造林作業は10数年前、平真小学校を最後に途絶えた。市街地校では敷地面積が少なく、花壇やプランターで草花を植えたり、緑の少年団を結成して情操教育を推進しているが、いま一度取り組みを見直して
ほしい。
■森林活用計画の策定を
例えば前勢岳ふもとの「市民の森」一角で入学、卒業時に親子で記念植樹をするのもいい。あるいは成人、結婚式、定年、生年祝いなどさまざまな節目に木を植えれば、思い出として生涯心に残るし、子々孫々まで大
切に伝えたいと思うだろう。そうすれば、管理作業にも目が向き、森に親しむ機会が増えるかもしれない。セラピー効果も絶大なのである。
地域全体で取り組めば、観光客にも「思い出の森」づくりを勧めることが出来るかもしれない。近年は泡盛を購入し、古酒になるまで地元で保存させる人々が増えている。新婚旅行で訪れたカップルが記念木を植えたと
するならば、夫婦や子、孫の思い出の地にもなろう。
環境省の国立公園の編入計画で、市の森林の大部分はその計画地に含まれ、保全される見通しになった。これは海ばかりでなく、森林に目を向ける絶好の機会である。市はぜひ「森林活用計画」を策定し、自然環境学
習を啓発してはどうだろうか。
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