インドネシア庶民の知恵『ジョッキー++』の巻き
インドネシアの庶民は凄いです。
日本から見ると決して裕福でも快適でもない生活環境の中でしたたかに明るく、そして、けなげに生きております。まさに、『どっこい生きている』、といった感じです。そのしたたかさ、明るさ、けなげさを具体例をもって紹介します。
今回はジャカルタ名物、『ジョッキー++』、の巻きです。
ジャカルタでは日々起きる交通渋滞に頭を悩ませております。ビルがどんどん建ち車が増えるのにも関わらず道路を整備して来なかったジャカルタ市の怠慢です。
解消策としてバスレーンを設けました。3車線、4車線のメイン道路の内1車線をバス専用車線として一般車の立ち入りを禁止したのです。
お陰で車線の減った一般車レーンは混雑に拍車が掛かりました。ジャカルタ市の言い分は、『渋滞が嫌ならバスに乗ればよい』、というものです。
バスに乗る階層と自家用車を走らせる階層が異なることを知らないのでしょうか…ベンツの後部座席にふんぞり返っているトアン(旦那)がバスに乗るわけないでしょう!
バスレーン
『スリー・イン・ワン』なる奇策も用いました。朝の7時から10時までと夕方の4時半から7時までジャカルタの目抜き通りは3人以上乗った車でないと走ってはいけません…、というものです。
トアン(旦那)と運転手二人だけの車は困ります。
表通りを走れません。裏道へ廻ろうものなら同じ考えの車で溢れ返っております。
3人乗って居るように見せるため涙ぐましい努力をしました。お手伝いを乗せて走った人が居ります。
風船人形(ダッチワイフ?)を乗せた人も居た(そう)です。
警察も負けてはいません。『窓を開けて中を見せよ!』、と迫ってきます。
そこでジョッキーの登場です。まさに言葉通りの、『乗り屋』、です。
朝7時前と夕方4時半前の道路には路肩で手を突き出している大勢の若者やおばさん連が見られます。
車を停めると乗ってきます。彼(彼女)を乗せて足らない一人分を確保するのです。彼(彼女)は目的地まで着きますとお金を貰って車を降ります。その足でバスに乗り初めの地まで戻るのです。貰ったお金とバス代の差が儲けです。実にシンプルで合理的な稼業です。
トアンと運転手の二人乗りはジョッキーを乗せれば済みます。トアンが運転する車は?
ジョッキーを乗せてやっと二人です。一人足りません。
そこで登場! 『子連れおばさんジョッキー』。おばさんが自分の子か借りた子かは知りませんが赤ちゃんを抱いて立っております。赤ちゃんも立派な一人の人間です。人間の尊厳に賭けて警察官に文句は言わせません。
それでも小職はもの足りませんでした。
何か抜けている…
何か足りない…
出るはずもものが出ていない…
何だろ????
出ました!
どうせ乗せるならムクツケキ野郎や鬱陶しいおばさんより若い娘の方が好いです。
少なくとも小職はそう考えます。皆もそう考えるでしょう!小職だけの性癖ではないはずです。男ならそう思うでしょう。トアン達はみんな立派な男です。そう考えるほうが合理的です。満を持して登場した若い女性のジョッキー達です。今まで出てこなかった事がおかしいのです。ジャカルタの人は彼女らを、『ジョッキー++(プラス・プラス)』と呼びました。
果たしてプラス・プラスの意味は?
庶民って楽しいですね…。逞しいですね…。
生きるって楽しいですね。 人間万歳!人生万歳!
子連れジョッキー
ジョッキーたち
ジョッキーたち
この方はオカマです