神谷のインドネシア点描
『水責め、泥責め』
皆様へ
もう既にニュースでお聞きになっておられると思いますが
インドネシア共和国の首都ジャカルタが大変な洪水に見舞われて
おります。
レポーターも水の中
2002年にも大洪水があり空港へ繋がる高速が水没して大変な
被害を受けたことがありますが今回はそれ以上です。
ジャカルタ市全体が水に襲われ通常は水の来ないような高級住宅街
クラパガディン地区も例外とはなり得ませんでした。
ジャカルタ郊外の高原地帯ボゴールへ降った大雨が河口である
ジャカルタへ押し寄せ、運悪く大潮と重なったがために中流の
ジャカルタで溢れてしまったのです。
大人の胸あたりまで水につかり、地下に埋設してある電話線その
他の被害で電話も携帯もインターネットも繋がらない不安の数日を
過ごしております。
運悪くこんな日に限ってスマトラ島のジャンビよりジャカルタへ
出てきてしまった小職はこの目でこの体で被害を味わう羽目に
陥ってしまいました。
空港に向かう高速の停滞
バスレーンを走る
空港からの道は水没、高速はベタベタの渋滞で駐車場状態。
ジープで迎えに来てもらったので水深を気にせず下道を走り
中国人街コタを経由してブロックMに向かうという芸当ができたお陰で
何とか夜8時過ぎにはホテルまで辿り着きました。
いつもはバス専用となっているバスレーンを走りました。
道路の両側に帰れない人々が雨に打たれてバスを待っている光景が
哀れでした。
来る、来る、と前から言われて続けきた水害でした。
上流での木の切り過ぎといういつもの意見が出ておりまたぞろ
材木屋を悪者にしたいような雰囲気です。
曰く、『違法伐採!』
ジャカルタ市長スティヨソ氏の無策こそ批判されるべきなのに・・・。
こんなジャカルタでは仕事にならないとばかり翌朝5時発で再び
空港へ行きスラバヤへ向かいました。
早朝にもかかわらず冠水した高速はエンコ車続出で大渋滞、
遅れて着いたにもかかわらずパイロットも来ていないお陰で
飛行機の出発が3時間遅れ、結果はセーフでした。
やっとの思いで着いたインドネシア第2の都市、商都スラバヤは
泥害に見舞われておりました。
スラバヤ郊外の天然ガス掘削現場で噴き出した泥が止められず
辺り一面泥の海。
聞くところによると毎日15万m3ほどの泥が地下から地上に噴出
しており、専門家の調査では10年から20年ほど噴出し続けるだろう、
とのことです。
泥で家が埋まり雨季の雨で更に追い討ちを掛けれられる。
現場に近いポロンの街は無人状態の地区が多く有ります。
噴出す泥に気をとられていますがこれだけの泥が噴出すということは
その分地下に空洞が出来ているということです。
この地帯を跨いで伸びる高速に異変が出始めました。
高架橋が傾き始めたのです。
危ないので結局強制的に崩しました。
果たして地面のどこに穴が開いているのでしょう?
どこに有るのかわからぬ落とし穴の上で暮らしているようなものです。
高速は使い物にならず、ポロンの街そのものを移転させるという
アイデアも出ているほどです。
この先には日本企業も多くある一大工業団地もあり、経済的損失は
計り知れないものがあります。
これは誰の責任???
インドネシア国民は現大統領の就任以来数々の災害に見舞われて
おります。
アチェー大津波にソロの大地震、
信仰の山メラピー山は噴火し、
ジャカルタは水攻め、スラバヤは泥攻め、
フェリーは沈み、汽車は脱線、飛行機は落ちる。
鳥インフルエンザに洪水後の疫病蔓延・・・。
一体どうしたらよいのでしょう???
(祈るしかないでしょうか)
でも・・・こんなインドネシアでも、
地面から突然ガスが出て寝ているうちに中毒死したり、
理由もなく人を殺して喜んだりするレベルには至っておりません。
噴出す水蒸気
落ちた橋