【81】まき
高野槇大阪弁を見のがさず
(奥田白虎)
したたりの緑も深き高野槇
(広田公子)
村雨の路もまだ乾ぬ槇の葉に 霧立ちのぼる秋の夕暮
(百人一首の内寂法師)
常緑高木。
「マキ」といえば今では「イヌマキ」の一名となっているが、「イヌマキ」とは元来「マキ」より劣ると言う呼び名であるので「マキ」と「イヌマキ」が同じというのは奇妙である。
私の生れの紀州では高野槇は「ホンマキ」と呼ばれている。
水湿によく耐えるので桶、水槽等に賞用される。
また一節には昔はスギが真木(まき)と呼ばれており「イヌマキ」とは杉に対比した言葉であるとも言 われる。
子供の頃赤い甘い実のなる小さな槇の木が庭にあったが他に大きな槇が何年たっても実がならず残念でその内になるだろうと思っていたが、中学へ行くようになって始めて木の中に雌雄別々である木もある事がわかりいままで大きな槇に実がなって食べられる事を楽しんでいた事が馬鹿らしく腹立たしかった事が思い出される。
私の店のある大阪府下美原町の植木屋さんは三重県に多い生垣のマキの古いのを買い、それを刈込んで何年もかかって庭木に仕立て上げている。
槇は、千葉県の県の木。