【49】せんだん
栴檀の葉陰に土用の風薫る
(串田句味地)
きのふけふあふちに曇る山路かな
(芭蕉)
妹が見し楝の花散りぬべし わが泣く涙いまだ干なくに
(妻を亡くした大伴旅人の胸を察して)
(山上憶良)
落葉高木。
高さ25m、直径1mにもなる。四国、九州の海辺や山地に自生するが普通は学校や人家に植えている。
初夏にあわい紫色の五弁花を咲かす。さして目だたない花であるが、ほろほろとこぼれるように散るさまは非常に風情がある。
実は10月熟して黄色くなり、葉が落ちても吊り下っており10月、11月の透き通るような青空はえて美しい。鳥が来て良く食す。
万葉時代は5月5日の節句にはショウブやヨモギと共に之のせんだんを軒にさしていたようだが鎌倉時代になると斬罪人の首をさらす木となったので獄門の木として忌み嫌われるようになったという。
枝が大きく拡がるので我が家の樗も2~3年毎に台風に逢って枝を大きく折らす。
西行法師の「栴檀は双葉より芳し」はビャクダン科のビャクダンの事でその漢名をセンダンと読み違えたというのが定説になっている。