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新・木偏百樹

ねずこ

鼠子(ネズコ、ネズ)、黒檜(クロベ、クロビ)、黒部杉、ゴロウヒバ
高さ25m~30m、直径40cm~60cm、ときには樹高35m。直径100cmに及ぶものもある。 直幹性であるがねじれているものもある。本州の北部から中部、さらに中国、四国に自生している。とくに富山県の黒部川筋,長野県の木曽に多くみられる 。植物学的にはクロベが正式な呼び名で、心材がくすんだ鼠色で薄黒いことから、また樹皮や葉が黒みがかっているからとも言われている。
ヒノキ・サワラ・コウヤマキ・アスナロとともに木曽五木の一つ。元和元年(1615年)以後、木曽地区の優良材は全国の城下町の建築用材として大量に木材を供給したが、寛文5年(1665年)にはあまりの山の荒廃に、尾張藩による、木材の伐採禁止、住民の立入禁止などの林政改革が行われた。その後木曽の5つの木を停止木 (ちょうじぼ)として尾張藩の御用材以外の伐採を禁じ、「檜一本首一つ」とまで言われたが、生活のため伐採、盗伐がつづき、今でも悲話が語り伝えられて いる。島崎藤村の「夜明け前」にはこへんのところが詳しく歴史的に書かれてある。
ネズコ属の英名のArbor-Vitae(アルボル・ビダエ)は「生命の木」と言われている。16世紀初めに北アメリカのセントローレンス川を発見したフランスの探検隊が。壊血病にかかり瀕死の時に、 インディアンが作ってくれた「 ニオイヒバ」の葉の汁を飲んだところ病気が直った。彼らはこれを本国に持ち帰ったところ、王がこの木を「アルボル・ビダエ(生命の木)」と名づけたという話に由来する。ニオイヒバはネズコと同じヒノキ科クロベ属
の仲間。
また同じ仲間にアメリカネズコがあるが、おもしろいことにこの日本名は米杉。ネズコがクロベ杉と言われていることと似ている。米杉は今では、現地名のウ エスタンレッドシダーと呼ばれる事が多くなったが、これはウッドデッキが日本の住宅に普及したからだろう。しかし、ここでもシダーがついているので杉と思 われている。確かに木材はヒノキなどよりもはるかに杉に近い。私たちの会社は日本で最も古くからウットデッキを製造しているが、当初はお客さまへ、スギ ではなくヒノキ科であると何度も説明をしてきた。
材は軽軟でスギに似た芳香があり有用材だが、蓄積量が少なく、木材商品として量的には出荷されていない。神代杉(埋木杉)に似ていることから天井板や長押、腰羽目、戸障子、和机、茶ダンス、経木などに使われる木曽では今でも下駄を作っている。。樹皮は火縄 用に使われた。
私たちの会社では名刺に自社商品の「ヒノキ」、「ネズコ」の名刺を利用しているが、私はいつも2種持っていて、お客さまが女性の場合はネズコを、男性の 場合はヒノキを出すようにしている。女性の感性には自然な木らしいネズコが喜ばれる。

また下駄 の材料としても現在でも利用されていjます。桐の下駄は有名ですが、ねずこの下駄は履き心地も良く、桐下駄や塗り下駄とは異なった趣があります。下記写真は長野県朝日村の 三村木工さんのネズコ下駄です。

ネズコ(クロベ)の下駄

ネズコ下駄
ネズコ二本歯
ネズコ右近下駄
学名
Thuja standishii)
ヒノキ科
クロベ属
英名
Japanese arbor-vitae

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