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新・木偏百樹

なぎ

ナギノキ、チカラシバ
直径50cm~1mにもなり、関東以南の太平洋岸に分布する。北は紀州から四国、九州、琉球列島まで、また台湾、中国の中部以南にも分布している。植栽 すれば東京や千葉あたりでも育つが防寒対策が必要。 名前の由来はミズアオア科の水生植物でコナギというのがあるが、この古名がナギで、この葉の形が似ていることから。
古くから霊木として崇められて、各地の神社などに植えられていた。大きいものは25メートルにも達する。奈良の春日神社の裏山には有名なナギの自然林 があり、樹齢1000年の木もあるといわれているが、植えられたものと言われている。
マキ科マキ属
は世界に100種もあるが、日本のナギがもっとも有名で美しい。米国の植物学者、ウイルソン博士は最大の賛辞をこの木に与えた。
なぎの花は初夏に咲くも目立たないが、葉は話題を提供してくれる。葉は長さ3- 8センチで厚く、表面は光沢がある普通の葉のようだが、竹の葉のように20年から30本の平行脈があり、その葉を縦に引きちぎるのは相当の力がいり、弁 慶もこれには泣かされたと「ベンケイナカセ」、「センニンリキ」等の地方名がある。広葉樹に見えるが実は針葉樹である。また奈良にはたくさんのナギがある が、鹿はナギの葉を喰わない。 ナギは海の凪にかけて漁師が波が穏やかになると信仰し、災難を免れる力があるとも信じられていた。婦人が家庭の円満を願い、鏡の裏に納めていた。 なぎの実は球形で10月頃に1.5cmくらいの藍青色の肉質果が熟す。約30%の油を含んでおり、今でも春日神社では種子から搾った油を灯篭に点灯してい るという。その油煙を採って春日墨の材料としているという。 材は緻密で家具材に利用されるが、あまり出材されない。皮つき丸太として床柱に、樹皮はタンニンが多く皮をなめし染料とされていた。 江戸時代にはやった小歌に
「今度ござれば もって来てたたもれ 伊豆の小山の ナギの葉を 小山のな 伊豆の小山の ナギの葉を」
とあり、伊豆に行く船乗りに頼んでいる。伊豆山権現のご神木の葉がたいそうな人気があつたのだろう。なぎの木は国の天然記念物として2つある。豊川市 の「牛久保のナギ」は推定樹齢400年。
熊野速玉大社のナギの木は平重盛が手植えしたもので樹齢千年で日本一の巨樹。
学名
Podocarpus nagi
マキ科
マキ属
英名
Nagi、Japan Laurel

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