とねりこ
さととねりこ、戸練子、ダゴノキ、苦木(ニガキ)、
タモノキ
高さ15m、直径60cm、本州中部以北の山地に自生する。どこにでもよく育つが、多少水があって、排水のよい場所を好む。日陰に耐え、根が深いので風に
つよい。
学名から読み取れるのは、バリケード、垣根を作って囲むことの意味で、南ヨーロッパでは昔から垣根を囲むのにこの木が用いられていたのであろう。
トネリコの名の由来はいくつかある。昔、写経の際に樹皮を濃く煮つめ、墨を混ぜ、共に練り(共練濃ともねりこ)、ニカワ状のようにしたことから、、トモネリコ(共練濃)が転訛したという説。
トネリコの枝にはカイガラ虫がよくついて白?を分泌する。これをトネリというが、この?を敷居に塗ると戸の滑りがよくなるのでトスベリの方言もある。このこ
とからトヌリキがトネリキ、そしてトネリコとなったという説。
最後に植物学者の牧野富太郎博士はものを束ねるためその枝を10回もねじって結束することからという意味のトウネリ(十練り)から生じたという説を立てている。
北陸地方では田の畔に稲架木として植えているものが多くタモノ木(田面の木)と呼ばれ、国鉄信越本線を北上すると長岡から新潟までの車窓風景として旅行者の目を引きつける。
春新芽に先き立って4~5月頃に若枝の先に小さな花が円錐花序をなして咲く。
トネリコとタモノキは平安時代から古書に名前が見られるが、前者は今日のアオダモ(小葉?(コバノトネリコ))を指し、後者は地方によってはハルニレやタブノキを差しているようだ。
材の利用はシオジ、ヤチダモとほぼ同じ。しかし大材が少なく量的にまとまって出ることがあまりないので、木材業界では重要な樹種とはいえない。
材は強くねばりがあるのでプロ野球のバットに使われる。また鏡台、ろくろ細工、器具に使用する。軟式野球ではヤチダモを使う。バットは柾目でまっすぐに
目の通った良材を使わなければ折れる。トネリコの若い枝は、木肌がなめらかで、小鳥の止まり木によく用いられる。
ヨーロッパでの同じ仲間にセイヨウトネリコがある。アッシュと呼び、洋杖に用いることはひろく知られている。皮付の高級ステッキモであり、いまでも輸入され
ている。
木を使った商品を購入するのが趣味の私にとって、洋傘もかねてから探してしたが、ある百貨店でか柄はもちろん支柱までトネリコのものがあった。英国製
で数万円もしたが、迷うことなく購入したが、雨漏りがするのを了解してくれと店員に言われたのには驚いた。まだ利用したことはなく、事務所に飾っている。<
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北欧神話では、トネリコは宇宙の樹であり、宇宙は宇宙樹(ユグドラシルYggdrasil)に支えられ、宇宙の全てがこの樹に結び付いているとされている。またケルト人にとって、また水の力の象徴でもあった。トネリコの枝で雨乞い
をしたした。
西三河の知立市には市の天然記念物のトネリコがあり、最も古木と言われている。
- 学名
- Fraxinus japonica
- 科
- モクセイ科
- 属
- トネリコ属
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