かや
臭橙(かぶら)カエ、ガヤ、カヤノキ、シロガヤ、ホンガヤ などと呼ばれる。
高さ30m、直径2mになる、本州以南、対馬、済州島に暖帯の山地に自生しているが、庭樹としても植えられる。
もともと蓄積が少なく、また成長が遅いため、大きい樹を見ることは少ない。庭木としても植栽される。
寺社の境内にも植えられているものは、しばしば大木となる。全国でも150本以上の巨樹巨木がある。
それらは種子採取の母樹となることが多い。山に近い地方では、カヤの名前は古くから果実が食用になるため良く知られている。実を利用する農家では
、よく雌株を植えるように心がけた。
カヤに似たイヌガヤはイヌガヤ科に属
するまったく別の樹木である。
2列にならんだ葉は、カヤは触るととげのように痛いが、イヌガヤは痛くないので区別がつく。
榧の匪(ひ)は左右に開くの意味。針葉が扁平に左右に開いているのでこの文字をあてたと思われる、?(かや、ひ)や?の文字はやはり針葉が扁平に左右に開いていることからか。
栢は柏の俗字で、カヤに柏の字をあてることもあるが、これは植物学的には誤り。
材は辺材と心材の区別は不明瞭。黄白色で香気あり、年輪は狭く比重は0.5、針葉樹としては重い。加工容易で保存生が高く、水湿に良く耐える。大木から
取った無節の柾目材は油気多く、弾力性がある。
こうした榧材で作った碁盤は、石を打っても肩がこらず、盤面もしばらく置けばへこみが再び元へ戻る特性があって、最高級品である。
。
宮崎県の日向産は特に喜ばれる。榧はまた風呂桶などの浴室用材、彫刻材、算盤の珠、建築材では床柱に使用される。
かわいいラグビーボールのような果実は約2-3cm、そのまま食べると十二指腸虫の駆除に効くといわれ、薬用にされていた。
胚乳に多量の脂肪油が含まれ、食用油、整髪油、灯用(イヌガヤが良質)、塗料等の利用も多い。
済州島に旅行したときに、カヤの原生林の中を歩いた。よく整備されていて小1時間ほどで散策できる。カヤの香と巨木林に囲まれたすばらしい空間だった
。私のとっては済州島の中で一番の癒しスポットであった。
北原白秋の童謡集「花咲爺さん」に「カヤの木山の」があるので、昔は一般的な木だったのだろう。
縄文時代の遺跡の貯蔵庫から多数のカヤの実が出土している。日本の祖先が食糧のひとつにしていたことはまちがいないだろう。カヤの実はアク抜きな
ど容易で、ある時期にいっせいに落ちてくるので、採取に便利な食料だったのだろう。
滋賀県湖北地方ではカヤの実を「バイ」と呼び、「米一升、バイ一升」といってカヤを大切にしていたという。現在、売られているカヤのお菓子としては木曽の
銘菓で実に砂糖でまぶした「カヤあられ」や三重県一志郡美杉村の幻の銘菓「榧太郎生」(かやたろう)がある。
案内には「こうばしい香りと油の乗った榧の実の砂糖菓子9月中旬に熟した実が落ち始めてから約2ヶ月余りもかかって磨きあげた、一から十まで手作り
のお菓子とある
- 学名
- Torreya nucifera
- 科
- イチイ科
- 属
- カヤ属
- 英名
- Japanese torreya、Japanese Plum Yew、 Japanese Nut Meg Tree
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