117 |
ヤナギ |
柳のある? |
「湯屋つて言へば、あの角に柳のある?」 |
120 |
つつじ |
春は躑躅 |
春は躑躅、夏は卯の花、秋は薄とその風情に富んで居ることは画にも見ぬところであるそうな。 |
120 |
木立 |
木立のあるのは |
それから少し右に寄つて同じ木立のあるのは安養寺といふ村の寺、 |
121 |
枝葉 |
枝葉を添へて |
それを想像すると、空想は空想に枝葉を添へて、 |
121 |
階段 |
階段 |
階段を上つたところの一間の右の一隅(かたすみ)には、 |
121 |
ケヤキ |
欅の眩々した |
階段を上つたところの一間の右の一隅(かたすみ)には欅の眩々(てらてら)した長火鉢が据えられてあつて、鉄の五徳に南部の錆びた鉄瓶が二箇懸つて、 |
121 |
キリ |
総桐の |
その後にしつかりした錠前の附いた総桐の箪笥がさも物々しく置かれてある。 |
132 |
柴 |
柴の組橋 |
渓流はその重り合つた山の根を根気よく曲り曲つて流れているが、或ところには風情ある柴の組橋 |
133 |
森 |
鎮守の森 |
蕎麦の花の白き畑、欝蒼(こんもり)と茂れる鎮守の森、 |
133 |
森 |
鎮守の森 |
後の山の影は速くその鎮守の森に及んでいる。 |
133 |
スギ |
野中の大杉 |
野中の大杉の影はくつきりと線を引いたように、 |
133 |
スギ |
大杉の陰 |
山県の家は何でもその大杉の陰と聞いていたので、自分は眼を放つてじつと其方(そなた)を打見やつた。 |
134 |
スギ |
大杉の陰に |
大杉の陰に簇々(むらむら)と十軒ばかりの人家が黒く連つらなつていて、 |
136 |
樹 |
樹の梢 |
樹の梢などに老若男女殆全村の人を尽したかと思はるるばかりの人数が、 |
138 |
林 |
疎らな林 |
その後には欅の十年ほど経つた疎らな林、 |
138 |
薪 |
薪を積み重ねた |
それから薪を積み重ねた小屋、 |
138 |
桔槹 |
桔槹 |
高く夕日の影に懸つて見える桔槹(はねつるべ)(桔槹けっこうのこと ) |
138 |
ケヤキ |
欅の十年ほど経つた |
その後には欅の十年ほど経つた疎らな林、 |
140 |
縁側 |
散ばつている縁側に |
糸屑などの無茶苦茶に散ばつている縁側に後向に坐つて、 |
141 |
垣 |
孫右衛門どんの垣 |
「孫右衛門どんの垣の処の阪で、寝反つたまま何うしても起きねえだ。 |
142 |
床の間 |
床の間には |
床の間には何(ど)んな素人が見ても贋と解り切つた文晁(ぶんてう)の山水が懸つていて、 |
142 |
長押 |
長押 |
長押には孰(いづ)れ飯山あたりの零落(おちぶれ)士族から買つたと思はれる槍が二本、 |
142 |
造作 |
造作 |
造作は確乎(しつかり)として居るし、天井は高く造られてあるから風の流通もおのずから好く、 |
146 |
椀 |
椀に山盛に |
名物の蕎麦が、椀に山盛に盛られてある |
148 |
椀 |
蕎麦の椀 |
自分はもう十分であるといふ事を述べて、そして蕎麦の椀を保護すべく後に遺つた。 |
150 |
森 |
森と言はず |
森と言はず、田と言はず、川と言はず、直ちに遁(に)げて身を隠して了う。 |
151 |
鎮守の森 |
鎮守の森 |
疎らな鎮守の森を透とほして、閃々(きらきら)する燈火の影が二つ三つ見え出した頃には、 |
151 |
樹立 |
樹立の上 |
その流るるやうな涼しい光は先第一に三峯の絶巓(いただき)とも覚しきあたりの樹立の上を掠(かす)めて、 |
151 |
鎮守の森 |
鎮守の森 |
それから鎮守の森の一端を明かに染めて、 |
151 |
鎮守の森 |
この時鎮守の森 |
この時鎮守の森の陰あたりから、夜を戒いましめる柝木(ひやうしぎ)の音がかちかちと聞えて、 |
151 |
柝木 |
柝木の音 |
この時鎮守の森の陰あたりから、夜を戒いましめる柝木(ひやうしぎ)の音がかちかちと聞えて、 |
151 |
柝木 |
柝木番 |
「今夜の柝木番は誰だえ、君ぢや無かつたか」 |
153 |
森 |
森の傍で |
あの森の傍で、がさがさ音が為(す)るから、 |
154 |
鎮守の森 |
鎮守の森の陰から |
見ると、月の光に黒く出て居る鎮守の森の陰から |
155 |
鎮守の森 |
鎮守の森 |
今燃えているのは丁度鎮守の森の東表に向つた |
155 |
鎮守の森 |
鎮守の森の陰 |
鎮守の森の陰の路へと進んで来るので、 |
155 |
鎮守の森 |
鎮守の森の裏山は |
平生(いつも)ならば人も滅多に来ない鎮守の森の裏山は全く人の影を以て填(うづ)められて了(しま)つた。 |
158 |
垣 |
柴の垣の |
柴の垣の続いている細い道を静かに村の方へと出た。 |
162 |
木の葉 |
木の葉 |
この四辺(あたり)はひつそりと沈まり返つて、木の葉の戦(そよ)ぐ音すら聞えぬ。 |
162 |
垣根 |
垣根の前に |
その家の垣根の前に小さな人の影があつて、 |
162 |
樹 |
緑樹 |
やがて緑樹の欝蒼(こんもり)と生ひ茂つた、 |
163 |
カ |
樫の疎らな並樹 |
樫の疎らな並樹がぐるりと其の周囲を囲んで居る奥に、一棟の母屋、 |
163 |
並樹 |
樫の疎らな並樹 |
樫の疎らな並樹がぐるりと其の周囲を囲んで居る奥に、一棟の母屋、 |
166 |
葡萄 |
山葡萄 |
草を摘みに行つたり、山葡萄を採りに行つたり為た事があるといふが、 |
180 |
樹 |
樹でも |
樹でも、するすると攀上(よじのぼ)つて、丸で猫ででもあるかのように、 |
186 |
桶 |
桶を持つて来い |
やれ水を運べの桶を持つて来いのと老主人が声を限りに指揮(さしず)する気勢(けはい)が分明(はつきり)と手に取るやうに聞える。 |
187 |
木材 |
木材の燃え出す |
ばちばちと木材の燃え出す音! |
190 |
べら棒 |
べら棒 |
べら棒め、根本三之助などと威張りやアがつて元ア |
203 |
根太 |
小屋の根太 |
小屋の根太やら、扉やらを打破して、 |
204 |
根太 |
小屋の根太 |
小屋の扉を破り、小屋の根太を壊して、 |
207 |
鎮守の森 |
鎮守の森 |
鎮守の森の蔭に一つ。 |