春前に咲くウメは万葉の時代から日本人に親しまれてきました。江戸時代前まではサクラよりウメの方が好まれていました。
ウメの名前を小説に入れた作家は 名います。また1つ以上ウメの名前を使った小説としては ありました。
すべての小説での出現回数は378箇所ありました。
ウメが一番出現する小説は与謝野晶子のみだれ髪です。
最も出現回数の多い作家は井伏鱒二で50箇所、 次は島崎藤村で38箇所です。
以下、谷崎潤一郎の19箇所、山本有三の16箇所、与謝野晶子の16箇所、尾崎紅葉の16箇所、夏目漱石の15箇所、円地文子の15箇所、川端康成の12所箇所でした。(以下省略)
また小説別では、与謝野晶子の「みだれ髪」16箇所、円地文子の「女坂」15箇所、山本有三の「真実一路」13箇所、谷崎潤一郎の「春琴抄」10箇所、井上靖の「欅の木」8箇所、川端康成の「山の音」8箇所、島崎藤村の「若菜集」7箇所、島崎藤村の「夜明け前」7箇所、夏目漱石の「硝子戸の中」5箇所、城山三郎の「部長の大晩年」5箇所、泉鏡花の「婦系図」5箇所、田山花袋の「田舎教師」5箇所、島崎藤村の「千曲川のスケッチ」5箇所でした。(以下省略)
以下に面白い、素敵、綺麗な表現のあるものをピックアップします。
ウメに関する情報と写真はコチラ
- 夏目漱石の「こころ」
- 梅が咲くにつけて寒い風は段々向を南へ更(か)えて行った。(79頁)
- 夏目漱石の「草枕」
- 竹間の梅棕(ばいそう)森然(しょうぜん)として鬼魅(きび)の離立(りりつ)笑髩(しょうひん)の状のごとし。(133頁)
- 尾崎紅葉の「金色夜叉」
- こんな若い野梅、薪のやうなもので、庭に植ゑられる花ぢやない。(66頁)
- 銃槍の忍返しを打ちたる石塀を溢れて一本の梅の咲誇れるを、斜に軒ラムプの照せるがその門なり。(301頁)
- 風吹荒ぶ門の梅の飛雪(ひせつ)の如く乱点して、燈火の微(ほのか)に照す処その影は見えざるなりき。(308頁)
- 島崎藤村の「夜明け前」
- 梅の花匂はざりせば降る雨にぬるる旅路は行きがてましを(338頁)
- 泉鏡花の「婦系図」
- 艶やかな濡髪に、梅花の匂い馥郁(ふまいく)として、繻子(しゅす)の襟の烏羽玉(うばたま) にも、香やは隠るる路地の宵。(72頁)
- 霜に堪え、雪を忍んだ、梅の樹振りは潔い。(109頁)
- 与謝野晶子の「みだれ髪」
- ひと枝の野の梅をらば足りぬべしこれかりそめのかりそめの別れ(25頁)
- 武者小路実篤の「真理先生」
- 桜は満開の時が好きだが、梅は満開の時より今時分の方か新鮮で(45頁)
- 谷崎潤一郎の「春琴抄」
- 水嵩の増した渓流のせせらぎ松籟(しょうらい)の響き東風(こち)の訪れ野山の霞梅の薫り花の雲さまざまな景色へ人を誘い、(73頁)
- 芥川竜之介の「トロッコ」
- 茶店の前には花の咲いた梅に、西日の光が消えかがっている。「もう日が暮れる」(93頁)
- 城山三郎の「部長の大晩年」
- 印南町では、また無心に、豊かに梅が咲く。(128頁)
- 有吉佐和子の「紀ノ川」
- 梅はすべて菅原家と由縁のある家のしるしである(178頁)