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小説と木

樹種「カシ」の素敵な文章

カシの果実はドングリと呼ばれていて、日本のあちらこちらで見ることができます。アカガシ 、イチイガシ、シラカシ 、アラカシなどの総称です。材は堅く弾力があるので昔から重宝されていた木です。

以下に面白い、素敵、綺麗な表現のあるものをピックアップします。カシに関する情報と写真はコチラ

幸田露伴の「五重塔」
縁にはわざと赤樫を用ひたる岩畳(がんでふ)作りの長火鉢に対ひて話し敵もなく唯一人、(7頁)
尾崎紅葉の「金色夜叉」
樫の実の夥(おびただ)しく零(こぼ)れて、片側に下水を流せる細路を鶏の遊び、犬の睡れるなど見るも悒(いぶせ)きに、(156頁)
国木田独歩の「武蔵野」
月が家並の後ろの高い樫の梢まで昇ると、向う片側の家根が白ろんできた。(33頁)
田山花袋の「田舎教師」
やがて麦の根元は黄ばみ、菖蒲の蕾は出で、樫の花は散り、にわやなぎの花は咲いた。(222頁)
島崎藤村の「若菜集」
槍は荒し杉直し五葉は黒し椎の木の枝をまじふる白樫や(201頁)
谷崎潤一郎の「細雪」
大明竹やの葉の生い繁った薄暗い方へもぐって行ってしまったので、(155頁)
夢野久作の「あやかしの鼓」
あやかし」という名前はこの鼓の胴が世の常の桜や躑躅と異ちがって「綾になった木目を持つ赤樫」で出来ているところからもじったものらしい。(346頁)
あれは宝の木といわれた綾模様の木目を持つ赤樫の古材で、日本中に私の鑿(のみ)しか受け付けない木だ。(349頁)
胴もお見かけはまことに結構に出来ておりますが、材がで御座いますからちょっと音(ね)が出かねます。(354頁)
 久能張(くのうばり)のサミダレになった鉋目(かんなめ)がまだ新しく見える胴の内側には、蛇の鱗ソックリに綾取った赤樫の木目が目を刺すようにイライラと顕(あら)われていたからである。(384頁)
芥川竜之介の「河童」
(鉄格子をはめた窓の外には枯れ葉さへ見えない樫の木が一本、雪曇りの空に枝を張つていた。(72頁)
アラカシの葉

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