レバノン杉は、学名:Cedrus libani、マツ科(Pinaceae)ヒマラヤスギ属(Cedrus)の高木の常緑針葉樹で、レバノンを原産地とすることからその名前が付けられました。日本では「スギ」と呼ばれ、他の地域では「Cedar(セダー、シダー)」や「セドラス・リバニ」などと呼ばれます。特徴的な外観は、30〜40メートルに達するまっすぐな幹と水平に広がる枝です。針葉の葉は深緑で長さ約2.5〜3センチメートル。春に風媒花の小さな円錐状の花穂が形成されます。
レバノン杉は木材としても価値が高く、耐久性があり、美しい外観と甘い香りが特徴です。家具や建築材料の製作に適しており、加工しやすく精密な仕上がりが可能です。天然の抗虫性も持ち、音響特性にも優れています。
しかし、過去数世紀の乱伐により野生個体の数が減少し、絶滅の危機に瀕しています。現在は保護活動が進められており、再生や植林が行われています。
また、レバノン杉は聖書の中でも頻繁に登場します。アブラハムの試練や幕屋の建設に使用されるなど、特別な意味を持つ木として描写されています。
・出エジプト記(出エジプト記 25:10-27):この章では、モーセが神からの指示に基づいて建てるための聖所、すなわち「幕屋」(または「会見の幕屋」とも呼ばれる)の詳細が説明されています。その中には、レバノン杉の木材が使用され、特に幕屋の柱や横木に使われました。
・イザヤ書(イザヤ書 37:24):この箇所では、アッシリア王に対して預言者イザヤが語っています。イザヤはアッシリアの傲慢さを指摘し、彼らがレバノンの高い杉の木を切り倒すような傲慢さで他国を征服しようとしていることを暗示しています。